真理の探究か、知識の応用か

大学というのは、こういうところだとなかなか一言で定義できません。
だから、こうあるべきだという議論も簡単にはできません。
あまりにも性格がちがうものが寄り集まっているからです。

大学には、基本的に二つの流れがあります。

実学と理学です。

理学はピュアサイエンス(純粋知識学)で、真理を何かのためでなくそれ自体を目的として探求します。おおむね、理学部と文学部の諸学科がそれにあたります。

実学は、知識を社会に役立てることを目的とする応用の学です。実学は、単なる真理探求=知識獲得をもって終りとせず、その知識を使って何ができるかを追究します。そしてその知識の用い方を伝授します。

医学部、工学部、法学部などがそれにあたるといってよいでしょう。知識の伝授という観点からいえば、これらの学部は高等職業訓練学校(プロフェッショナル・スクール)といってもいい性格を持っているわけです。

 

   (立花隆著 東大生はバカになったか 文春文庫より)