Department of Animal Radiology, The University of Tokyo
東京大学大学院 農学生命科学研究科 放射線動物科学研究室

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研究テーマ Theme

食物アレルギーの診断・治療方法の開発

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食物アレルギーは本来有益である食べ物に対して、体が過剰な免疫反応をおこし、咳や蕁麻疹、かゆみ、下痢、喘息などの症状が出てしまう病気です。重篤な場合、急激な血圧低下や意識障害を伴うショックを起こしてしまうことも少なくありません。この病気は0歳児をはじめとして小さな子供で多く発症し、その患者数はこの10年で急激に増加しています。

身近で恐ろしい食物アレルギーですが、その診断方法や治療方法の開発は進んでいません。アレルギーの検査として血中のIgE抗体値測定がありますが、この方法では本当に症状が出るかは分かりません。確定診断を行うには、お医者さんの管理の下、原因となる食物を実際に口にして、症状の有無を観察する「食物経口負荷試験」を行うより方法がないのが現状です。また、診断や症状の評価ができないと、どんな方法が有効であるのか評価することはできず、治療方法の開発は進みません。

「食べたいものを安心して食べられるように」そんな願いから我々は、食物アレルギーの診断方法と治療方法の確立を目指して研究を進めています。

具体的な研究内容として、乳幼児でも採取が簡単な尿や便の中に、食物アレルギーの発症に伴って排泄されるマーカーとなる物質を、探索しています。関連する病院を含む多くの先生方の協力を得て、現在はヒトでの臨床試験を行うまでに至ったマーカーもあり、今のところ探索は良好に進んでいます。応用への道は平たんではありませんが、より簡単・確実に食物アレルギーを診断する技術の数年後の実用化を目指し、日々研究を積み重ねています。

もう1つの研究の柱として治療法の開発があります。アレルギー反応は抗原特異的なIgE抗体を持った肥満細胞という免疫細胞が活性化することで引き起こされます。これまでに、アレルギー症状の悪化に伴い、組織中の肥満細胞の増加が伴うことや、そのメカニズムを明らかにしてきました。現在、これを応用した治療法の開発を進めています。また、抗原が体に侵入してきた後、IgE抗体が作られるまでの仕組みや、抗原に対して体が反応しなくなる脱感作や免疫寛容が起こる仕組みを明らかにし、それらを制御する方法の開発も進めています。治療法の開発ももちろん大変重要ですが、巧みにつくられた免疫の仕組みを読み解くのは大変興味深いです。

この他に喘息や鼻炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の診断法や治療法の開発といった研究も進めています。特に先進国において、食物アレルギーをはじめとしたアレルギー疾患は増え続けています。その理由を探りつつ、1つ1つの病態観察を着実に進め、これらの疾患の診断から管理、治療までの流れを作っていきたいと思っています。

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