研究テーマ Theme
人工知能をもちいた動物行動解析システムの構築
生物研究や創薬研究の場では、実験動物の体温や血圧、呼吸、心拍、などの生体情報を収集します。専用の物理センサーを動物の体内に埋め込んだり、麻酔をかけたりして数値を取得し、解析を行うことも多いです。しかし、これらを測定するには高い技術を必要とする上に、実験者によって結果が変わるため、再現性にも課題があります。また、動物にも心があり、彼らの感情は行動や表情の変化として表に現れます。しかし、その変化はあまりにも小さいため、ヒトが動物の感情を理解するのはとても困難です。動物の心が分かれば、彼らと適切な関係を築くことができ、動物が関わる研究やペット産業、畜産業に大きな革新を起こすことができます。
私たちは、動物福祉を重視しながら生物研究や創薬研究にブレークスルーを起こすために、「より自然な環境下で動物の生体情報や感情を客観的かつ総合的に評価できる技術」の確立が必須であると考えています。コンピュータの処理能力の向上に伴い、画像の解析技術は目覚ましく進んでいます。また、様々な分野において人工知能（artificial intelligence：AI）の開発と応用も急速に進んでいます。これらの技術は、「客観的な観察と解析」が必要な生物研究にも大いに役に立ちます。
私たちの研究室では、実験動物からより重要な情報をより多く、より簡単に取得できるようにするため、画像解析やAIの技術を応用して無麻酔、無拘束、非侵襲の状態で実験動物の生体情報や感情を評価できる、新しい評価系の確立を目指しています。実際に、すでに様々な実験動物の行動を解析する技術を確立しており、アレルギーやうつ、認知症モデルなどの解析に用いています。
- 24時間動物を撮影し解析する技術の開発： Kobayashi J Pharm Sci 2020.
- マウスの引っ掻きを検出するAIの構築： Kobayashi Scientific Reports 2021.
- 情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 特願2020-211853/特願2020-211852
