東京大学大学院 農学生命科学研究科 獣医薬理学教室(堀教授)

教授あいさつ

獣医薬理学研究室の教授を拝命している堀正敏です。当研究室は教室の歩みでもご紹介しているとおり、明治38年より続いている歴史ある研究室です。家畜衛生・家畜薬物学講座という名称のとおり、当初は家畜の衛生管理や家畜に対する毒性学のような研究が主流でしたが、西洋医学の発展とともに、天然毒研究や重金属毒性研究などの毒性学と、現在の筋生理・病態生理学研究などの薬理学を中心にした研究を展開してきています。獣医薬理学教室、と『獣医』という冠が頭についていますが、基本的には人も含めて哺乳類の生理・薬理学を研究対象としています。『獣医学』という学問領域は人も含めた地球上のすべての動物を対象とし、地球環境調和をも視野に入れた実にスケールの大きな、動物科学の最高峰とも言える学問領域です。従って、獣医学をベースに受け継がれてきた当研究室の研究色は、医学部や薬学部の薬理学教室とは一味違う、人を含めて哺乳類の生体機能を俯瞰するDNAが脈々と引き継がれています。様々な動物の生理、病態、診断、そして治療を学ぶ獣医学の上にたつ獣医薬理学は、人の創薬研究を俯瞰する力を発揮する目を持っています。そのような総合力を持つ学生をこれからも輩出していくことが私の務めです。そとのためには、研究技術や研究内容の充実はもちろん、協調性やリーダーシップ、優しさと厳しさなど高い人間力を持つ若者を育てていきたいと考えています。