研究内容の紹介

犬の慢性腸疾患に関する研究

犬のリンパ管拡張症(内視鏡検査所見)犬のリンパ管拡張症(内視鏡生検組織、HE染色)ミニチュアダックスフンドの炎症性結直腸ポリープ(内視鏡検査所見)
犬には原因が明らかになっていない慢性腸疾患が多く、慢性腸症と呼ばれています。我々の研究室では、これまでに犬も炎症性腸疾患(IBD)や蛋白喪失性腸症(PLE)の病態に関して、臨床的あるいは臨床病理学的、免疫学的、微生物学的そして分子生物学的に他方面からアプローチして研究しています。本校動物医療センター(VMC)ではとくにリンパ管拡張症を中心としてPLE症例が多いという特徴を生かし、現在犬の腸リンパ管の基礎研究を始めております。また国内の犬種特異的な疾患として、これまでに柴犬の慢性腸症やミニチュアダックスフンドの炎症性結直腸ポリープの存在をいち早くピックアップして、研究を行っております。

犬と猫の肝胆膵疾患に関する研究

犬の慢性肝炎とくに国内で多い犬種特異的慢性肝炎であるアメリカン・コッカー・スパニエルについて、臨床的および臨床病理学的特徴を研究するとともに、超音波造影などを獣医臨床に応用する研究をこれまでに行ってきた。またその他にも犬と猫の膵炎、胆嚢粘液嚢腫と呼ばれる犬の胆嚢疾患についても予後因子解析のほか病態解明に関わる研究を行っている。

犬と猫の炎症マーカーに関する研究

日本では古くから炎症マーカーに関する研究が盛んで、国内医学領域では広く炎症マーカーが利用されている。犬の炎症マーカーとしてはC反応性蛋白(CRP)が応用されているが、さまざまな疾患におけるCRPの臨床的意義について検討を行うとともに、国内外で要望の多い、猫の炎症マーカーとして血清アミロイドA(SAA)に着目し、その臨床応用に関する研究を行っている。


犬および猫の血液腫瘍に関する研究

 リンパ腫などの血液腫瘍は犬や猫において多く認められるものの、その病態は未だ不明な点が多いのが現状です。私たちの研究室では分子生物学的な手技を駆使し、その病態の解明に挑戦しています。特に近年は、次世代シーケンサーによる解析を用いてリンパ腫、白血病、肥満細胞腫、組織球性肉腫といった腫瘍におけるDNARNAレベルでの異常を網羅的に検出し、その病態への関与を明らかにすることを目指しています。
 また近年人医学領域では腫瘍組織中の細胞間情報伝達において、エクソソームという細胞外小胞の一種が重要な役割を果たしていることが明らかとなってきています。私たちはこのエクソソームにも着目し、腫瘍細胞が放出するエクソソームが内包する分子の解明やその機能の解析に挑んでいます。

犬のリンパ系腫瘍における抗がん剤耐性に関する研究

 リンパ腫は治療開始時には抗がん剤に対する感受性が高い腫瘍ですが、短い期間で抗がん剤に対する耐性を獲得して治療が困難となってしまいます。この抗がん剤耐性を獲得する分子機構に関しては長年研究が行われていますが依然として解明・克服には至っていません。近年、私たちの研究室では網羅的な遺伝子発現プロファイルの解析を行うことで、これまでに知られていなかった抗がん剤耐性因子の候補を見出してきました。現在これらの因子の機能解明やこれら因子の発現プロファイルを基にした抗がん剤耐性予測システムの確立を目指して他施設と協力しながら精力的に研究を行っています。

*血液・腫瘍性疾患の研究についてもっと詳しく知りたい方は こちらをご覧ください。