ヒトと動物との関係は、歴史的にみても地域的にみても様々ですが、21世紀を迎えた現在、両者の関係は新しい段階に入ったといえます。 それは、我々がかってないほどに動物の健康を重要視し、動物の福祉を真正面から考えるようになったことです。 これは動物の健康を守ることが、かけがえのない地球の財産を守ることにつながると同時に、 そのことが人間の福祉を向上させる上でも大切であることが専門家のみならず一般市民においても広く認識されるようになったからです。 獣医学は動物の健康を専門的に取り扱う唯一の分野ですが、人間の医学と異なる点は、 医学が単一の動物種であるホモサピエンスを中心に考えれば良いのに対して、獣医学は多種多様な動物界を取り扱うことです。 そのため、獣医学を学ぶ我々は常に幅広い動物学的な知識を求め、生態系への理解を深めることに心がけています。 これらの点を重んじながら本学の獣医学専攻では、次のような教育理念をもって人材の育成に努めています。
1. 動物の疾病予防と治療のための獣医療教育
2. 人獣共通感染症や食品衛生を中心とする公衆衛生学教育
3. ライフサイエンス(基礎研究)推進教育
4. 獣医畜産行政、環境問題に関する教育
5. 国際的視野をもった獣医学教育
獣医学専攻では、毎年約30名の学生を募集しています。3年次から本専攻に所属し、専門的な講義や実習を受けます。 4年次からは各研究室に所属し、6年次にはその成果を卒業論文として提出します。 卒業生の進路は、企業(製薬、食品など)、公務員、動物病院、大学院進学など多岐に渡ります。 過去のガイダンス資料についてはこちらをご覧ください。
修士課程・博士課程への進学をお考えの方へ獣医学専攻では、博士課程の学生を募集しております。また、一部の研究室では、修士課程の学生も受け入れております。 本年度の博士課程入試ガイダンスは、2024/3/25に実施しました(対面・オンラインハイブリット開催)。
東京大学獣医学専攻は、動物の生命現象の解明および病態の解明と克服、ならびに公衆衛生の向上を担う高度に専門的な人材の養成を図ることにより、 動物と人類のよりよい関係を構築し、両者の健康と福祉の向上に寄与することを教育研究上の目的としております。 詳細は以下のポリシーの項目をご覧ください。
東京大学農学部獣医学専修は、東京大学憲章にある「世界的視野をもった市民的エリート」としての獣医師を養成することを目的とする。 本専修に進学を希望するものは、獣医師の社会的使命を十分に理解し、世界の人々に奉仕する強い使命感を持たなければならない。 本専修は、これまで獣医学教育の中で公衆衛生や畜産行政を含むレギュラトリサイエンス、高度な獣医療、生命科学研究などの分野で重要な役割を果たしてきた。 このような歴史的背景と将来の役割を勘案し、以下のような目的意識を持つ学生を求める。
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻は、永い歴史の中で培われた研究の伝統の上に新たな先端的研究成果を積み上げており、 その中で次世代の優れた研究者と技術者の育成を行う。これら若い世代の研究者、技術者の養成こそ、日本の獣医学の新たな伝統の創生に他ならない。 本専攻では、高度な先端研究と技術開発に精通した者に対し博士(獣医学)の学位を授与し、以下のような人材の輩出を目指す。
東京大学農学部獣医学専修では、獣医学モデル・コアカリキュラムに基づいた講義と実習を提供した上で、「世界的視野をもった市民的エリート」を育成するという東京大学の教育方針に従って、 社会的な使命感をもった国際的に通用する獣医師を育成するために以下のカリキュラム(カリキュラムマップ)を実施する。 いずれの科目も東京大学でこれまで行われてきた優れた生命科学・獣医学の研究に根拠をおく臨場感あふれた講義と実習である。 なお一部の専門科目はすべて英語で講義される。
東京大学においては、上記の理念に基づいた臨床・公衆衛生・畜産・生命科学研究を含む包括的な獣医学教育を実践している。 それらを実践するにあたり、生体を利用した実習を行う必要がある場合、代替可能な部分については模型の利用やビデオ視聴、データベースを用いた解析等を積極的に導入している。 それでもなお生体を用いる以外の方法がない場合には、動物福祉に十分に配慮した実習計画書を提出し、動物実験委員会によりその必要性、妥当性についての審査を受け、最終的には研究科長/学部長の承認のもとに実習を実施することとしている。 東京大学では毎年、全ての動物実験計画について自己点検を実施しており、生体を利用した実習についてもその内容を常に見直したうえで動物実験委員会による審査を毎年受けることとしている。 小型実験動物を用いる複数の実習については使用数削減を目的として1つの実習に統合・整理したうえで実施している。 これは、高学年で実施される小動物や大動物を用いた実習でも同様である。
獣医学専修のカリキュラムで動物福祉および実験動物倫理等を学習する科目は以下である。 必修科目:実験動物学(2単位)、実験動物学実習(1単位)、獣医倫理・動物福祉学(2単位)、獣医事法規(1単位) 選択科目:生命倫理(1単位) 上記に加えて、東京大学においては、3Rs/5Fsの理念から策定された日本の法規、各種ガイドライン、機関内規程に則り、 総長の責任の下に動物実験に関する教育訓練(動物福祉・動物倫理の内容を含む)が全学的に実施されており、 獣医学専修の学生は、生体を用いた実習に参加する前に別途必ず受講することが義務付けられている。
獣医学専攻では、動物の正常な姿と病態を、個体レベルから細胞レベル、さらには分子レベルまで、総合的に理解することを目的として研究を行っています。
その分野は、「動物生産」から「動物医療」、「生命医科学」、「動物衛生・公衆衛生」に至るまで、多岐にわたります。
詳細については、各研究室のHPをご覧ください。
研究成果の一例
2023年
専攻については、
・学部:専攻長 内田 和幸(auchidak[at]g.ecc.u-tokyo.ac.jp)
・大学院:専攻主任 金井 克晃(ykanai[at]g.ecc.u-tokyo.ac.jp)
・大学院進学: 松脇 貴志(amwakit[at]g.ecc.u-tokyo.ac.jp)
にお問い合わせください([at]を@に変えてお送りください)。
動物の診療につきましては、附属動物医療センターのホームページをご覧ください。
その他のお問い合わせ先については、こちらをご覧ください。