小動物の骨髄疾患の分子病態の解明と新規治療法の開発


 骨髄疾患は貧血などの血球減少をもたらす主要な原因の一つです。主な骨髄疾患として白血病などの腫瘍性疾患や異形成性疾患、そして免疫介在性疾患などがありますが、小動物においては免疫介在性とされる骨髄疾患と診断される症例が多いことがわかってきました。近年我々は特に貧血をもたらす骨髄疾患がミニチュアダックスフントという特定の品種に好発することを見出し、その臨床的特徴を明らかにしました(Tani et al., J Vet Med Sci 2020
 そのため、現在我々は次世代シーケンサーを用いてゲノムDNA配列やエピゲノムの異常を網羅的に解析しており、細胞内シグナル経路の活性化状態と治療に対する反応性に関連があることを見出しました。
 将来的には、これらの新たな病態概念に基づいて、既存の薬剤では治療が困難であった症例に対する有効な治療法を開発していきたいと考えています。