東京大学大学院農学生命科学研究科 応用動物科学専攻

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研究内容

生体防御と免疫病態

風邪を引くと、熱やせき、くしゃみが出て、気分が下がります。「免疫、ちゃんと頑張っているのか」と残念に思いますが、これはある意味で免疫システムの頑張り所以でもあります。感染症において、免疫応答は病原体の排除(生体防御)に資すると同時に、宿主にとって不利益な症状(免疫病態)を引き起こしてしまいます。免疫応答はよく「諸刃の剣」に例えられますが、本来からだを守るべき免疫が不利益の原因だと聞くとすんなりとは納得しがたいです。

ただし、この「免疫応答」というものを詳しく見ていくと、同じ「感染」から始まった生体防御と免疫病態は、関わる細胞群や分子群に細かい違いがあります。この違いをきちんと理解すれば、症状に関与する免疫応答を誘導せずに、生体防御に関与する免疫だけを増強する、といったことも可能になります。当研究室では、遺伝子組換え動物や免疫不全動物を用いて、原虫病における生体防御と免疫病態のメカニズムに関する研究を行っています。分子機構や各種細胞の関与を明らかにすることで、 免疫バランスを最適化するワクチンや免疫療法の確立につながることが期待できます。