動物の死因と病気の原因を解明することが獣医師の主な役割です。当研究室では、積極的に病理解剖の依頼を受けており、個体の死因を明らかにするとともに、病気のメカニズムの解明に役立てています。
しかしながら、近年は病理解剖の依頼が減少しており、学生の実習に病理解剖を行うことが難しい現状です。獣医師の育成と獣医療の向上のために協力お願いします。
写真:イヌの大脳。
外科手術、内視鏡、針生検などで採取された組織の病理診断を行っています。また、犬や猫などのペットでは細胞診が広く取り入れられおり、臨床現場における簡易的な診断に役立てられています。
写真:イヌの小腸、内視鏡生検。
臨床現場における病理検体の取り扱いについて
病理検査では、適切な方法で組織を固定することが重要です。形態観察だけではなく、免疫染色や遺伝子検査の結果に大きく影響するため、不適切な固定により診断結果や治療選択が変わることがあります。なるべく同じ条件で固定し、標本を作成することにより、診断精度を向上することができます。
病理検査用の組織の取り扱い方(固定法など)については、こちらをご覧ください。
当研究室では、特に動物の神経筋疾患に関する病理検査を積極的に受け入れて実施しています。症例の臨床事項等により診断上必要な検査項目(血清や脳脊髄液検査)や材料の処理の方法等(冷凍保存、固定方法)は様々ですので、検査依頼に際しましては、事前に連絡頂きます様お願いします。また、臨床事項、神経学的検査所見、画像所見などを添付ください。肉眼写真撮影や検査部位特定のため非常に重要です。
写真:イヌの筋組織。
【神経筋組織のサンプリングについて】
・ホルマリン固定組織を送付の際は、固定中に脳組織が変形しないように、十分な大きさの容器(脳組織の10倍用量が望ましい)で固定してください。脳につきましては、十分固定された後に割面を作成する方が、良好な肉眼観察が実施できます。
・筋および末梢神経の生検材料につきましては、採取組織をアイス棒や厚紙などに貼り付け、両端をピンや注射針などで固定し、テンションを加え固定してください。筋生検が望ましいですが、Tru-cutで採取した場合は、テンションを加えるとちぎれてしまうため、厚紙に貼り付け部位別にチューブなどに入れて固定してください。
・遺伝性の疾患等が強く疑われる場合には、研究材料として遺伝子配列の解析を行う予定ですので、可能であれば組織の一部をホルマリン固定せず、凍結保存しておいてください。
・筋ジストロフィー等の疾患が疑われる場合には、凍結標本による、抗ジストロフィン、メロシン等の免疫染色が必要になります。このような疾患からの生検を実施される際は必ず、未固定凍結材料を保管ください。
・炎症性神経疾患の際は、可能であれば脳脊髄液を0.1ml以上採取の上、冷蔵にて送付下さい。筋疾患の際は血清にて蛍光抗体法により、抗筋抗体の検査を実施します。自己抗体検査については、ルーチンで実施していないため、結果報告に時間を要する場合がありますので、ご了承ください。
病理検査依頼に関するお問い合わせにつきましては、下記にご連絡ください。
Please contact Dr. Kazuyuki Uchida and Dr. James Chambers by e-mail for
diagnostic consultation.
Tel:03-5841-5410 e-mail:auchidak@g.ecc.u-tokyo.ac.jp (内田 和幸, Kazuyuki Uchida)
Tel:03-5841-5401 e-mail:achamber@g.ecc.u-tokyo.ac.jp (チェンバーズ ジェームズ, James
Chambers)
以下の依頼フォームをご利用ください。
Submission forms
病理解剖依頼書(日本語word版)
病理解剖依頼書(日本語PDF版)
組織検査依頼書(日本語word版) (採取組織の固定に関する項目を追加しました)
組織検査依頼書(日本語PDF版) (採取組織の固定に関する項目を追加しました)
Submission Form (English word)
Submission Form (English PDF)