お知らせ(News and topics)

  • [2025年度入学] 博士課程入試ガイダンス実施のお知らせ(3/25, 13時)
    対面・オンラインどちらでも参加可能ですが、事前登録が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。   

進学をお考えの皆様へ

 ヒトと動物との関係は、歴史的にみても地域的にみても様々ですが、21世紀を迎えた現在、両者の関係は新しい段階に入ったといえます。 それは、我々がかってないほどに動物の健康を重要視し、動物の福祉を真正面から考えるようになったことです。 これは動物の健康を守ることが、かけがえのない地球の財産を守ることにつながると同時に、 そのことが人間の福祉を向上させる上でも大切であることが専門家のみならず一般市民においても広く認識されるようになったからです。 獣医学は動物の健康を専門的に取り扱う唯一の分野ですが、人間の医学と異なる点は、 医学が単一の動物種であるホモサピエンスを中心に考えれば良いのに対して、獣医学は多種多様な動物界を取り扱うことです。 そのため、獣医学を学ぶ我々は常に幅広い動物学的な知識を求め、生態系への理解を深めることに心がけています。 これらの点を重んじながら本学の獣医学専攻では、次のような教育理念をもって人材の育成に努めています。

1. 動物の疾病予防と治療のための獣医療教育
2. 人獣共通感染症や食品衛生を中心とする公衆衛生学教育
3. ライフサイエンス(基礎研究)推進教育
4. 獣医畜産行政、環境問題に関する教育
5. 国際的視野をもった獣医学教育

駒場生の方へ

 獣医学専攻では、毎年約30名の学生を募集しています。3年次から本専攻に所属し、専門的な講義や実習を受けます。 4年次からは各研究室に所属し、6年次にはその成果を卒業論文として提出します。 卒業生の進路は、企業(製薬、食品など)、公務員、動物病院、大学院進学など多岐に渡ります。 過去のガイダンス資料についてはこちらをご覧ください。

修士課程・博士課程への進学をお考えの方へ

 獣医学専攻では、博士課程の学生を募集しております。また、一部の研究室では、修士課程の学生も受け入れております。 本年度の博士課程入試ガイダンスは、2024/3/25 午後1時より行います。 対面・オンラインどちらでも参加可能ですが、事前登録が必要です。

獣医学専攻の方針

 東京大学獣医学専攻は、動物の生命現象の解明および病態の解明と克服、ならびに公衆衛生の向上を担う高度に専門的な人材の養成を図ることにより、 動物と人類のよりよい関係を構築し、両者の健康と福祉の向上に寄与することを教育研究上の目的としております。 詳細は以下のポリシーの項目をご覧ください。

獣医学専修アドミッションポリシー

 東京大学農学部獣医学専修は、東京大学憲章にある「世界的視野をもった市民的エリート」としての獣医師を養成することを目的とする。 本専修に進学を希望するものは、獣医師の社会的使命を十分に理解し、世界の人々に奉仕する強い使命感を持たなければならない。 本専修は、これまで獣医学教育の中で公衆衛生や畜産行政を含むレギュラトリサイエンス、高度な獣医療、生命科学研究などの分野で重要な役割を果たしてきた。 このような歴史的背景と将来の役割を勘案し、以下のような目的意識を持つ学生を求める。

  1. 公衆衛生などを通じて、人と動物の食の安全・安心に貢献しようとするもの。
  2. 畜産業など動物生産に関する産業を通じて、食を支える使命感を持つもの。
  3. 動物疾病の診断と治療に関心をもち、研究あるいは診療行為を通じて人と動物の幸福に貢献しようとするもの。
  4. 生命の神秘に強い関心を持ち、研究を通じてその解明を目指すもの。
獣医学専修ディプロマシーポリシー

 東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻は、永い歴史の中で培われた研究の伝統の上に新たな先端的研究成果を積み上げており、 その中で次世代の優れた研究者と技術者の育成を行う。これら若い世代の研究者、技術者の養成こそ、日本の獣医学の新たな伝統の創生に他ならない。 本専攻では、高度な先端研究と技術開発に精通した者に対し博士(獣医学)の学位を授与し、以下のような人材の輩出を目指す。

  1. 世界屈指の基礎研究により、学術のパラダイムシフトを起こし、獣医学分野における革新的な技術革新のシーズを提供する研究者。
  2. 基礎研究の成果をもとにトランスレーショナルリサーチを行い、全く新たな技術シーズを生み出す研究者。
  3. 獣医学の各分野においてトランスレーショナルリサーチの結果を革新的な技術の開発に結びつける技術者。
  4. 日本国内にとどまらず、世界各地で獣医学に関連する研究に携わり、活躍する研究者。
獣医学専修カリキュラムポリシー

 東京大学農学部獣医学専修では、獣医学モデル・コアカリキュラムに基づいた講義と実習を提供した上で、「世界的視野をもった市民的エリート」を育成するという東京大学の教育方針に従って、 社会的な使命感をもった国際的に通用する獣医師を育成するために以下のカリキュラム(カリキュラムマップ)を実施する。 いずれの科目も東京大学でこれまで行われてきた優れた生命科学・獣医学の研究に根拠をおく臨場感あふれた講義と実習である。 なお一部の専門科目はすべて英語で講義される。

  1. 獣医師の社会的使命を理解するため、さらに獣医療に必要な科学的知識や技術を習得するため、充実した導入科目を提供する。
    これにより獣医学やその周辺の学問体系を把握し、獣医療および関連分野の歴史と現状を理解する。
  2. 正常な動物の形態や機能など獣医学の基礎となる生命科学の基礎的な知識を習得するための基礎科目を提供する。
    これらの基礎科目の学習を通じて、生命の神秘に対する興味を引き出す。
  3. 様々な病態とそのメカニズムを、集団・個体・組織・細胞・分子の各レベルにおいて深く理解するための講義と実習を提供する。
    新興感染症や人獣共通感染症など社会問題となっている新たな課題に対して、
    最先端の研究の成果をもとに課題解決型の学習によって理解を深めてゆく。
  4. 様々な動物の疾患の診断法、治療法について比較生物学的な視点からの講義と実習を提供する。
    さらにこれまでの獣医臨床研究から得られた知識をもとに開発された最先端の診断法と治療法も学ぶ。
  5. 領域横断型のアドバンス科目を提供する。
    これまで学んだコアカリキュラムによる知識を駆使し総合的に人と動物の健康を理解するための課題解決型科目である。
  6. 国際的に活躍する人材を育成するためのアドバンス科目も提供する。
    海外実習や英語による科学プレゼンテーション法などの科目を通じて、途上国を含む世界の獣医学の実際を体験する。
実習で生体を利用する際の獣医学専修の考えと教育について

 東京大学においては、上記の理念に基づいた臨床・公衆衛生・畜産・生命科学研究を含む包括的な獣医学教育を実践している。 それらを実践するにあたり、生体を利用した実習を行う必要がある場合、代替可能な部分については模型の利用やビデオ視聴、データベースを用いた解析等を積極的に導入している。 それでもなお生体を用いる以外の方法がない場合には、動物福祉に十分に配慮した実習計画書を提出し、動物実験委員会によりその必要性、妥当性についての審査を受け、最終的には研究科長/学部長の承認のもとに実習を実施することとしている。 東京大学では毎年、全ての動物実験計画について自己点検を実施しており、生体を利用した実習についてもその内容を常に見直したうえで動物実験委員会による審査を毎年受けることとしている。 小型実験動物を用いる複数の実習については使用数削減を目的として1つの実習に統合・整理したうえで実施している。 これは、高学年で実施される小動物や大動物を用いた実習でも同様である。

 獣医学専修のカリキュラムで動物福祉および実験動物倫理等を学習する科目は以下である。 必修科目:実験動物学(2単位)、実験動物学実習(1単位)、獣医倫理・動物福祉学(2単位)、獣医事法規(1単位) 選択科目:生命倫理(1単位) 上記に加えて、東京大学においては、3Rs/5Fsの理念から策定された日本の法規、各種ガイドライン、機関内規程に則り、 総長の責任の下に動物実験に関する教育訓練(動物福祉・動物倫理の内容を含む)が全学的に実施されており、 獣医学専修の学生は、生体を用いた実習に参加する前に別途必ず受講することが義務付けられている。

研究情報

 獣医学専攻では、動物の正常な姿と病態を、個体レベルから細胞レベル、さらには分子レベルまで、総合的に理解することを目的として研究を行っています。 その分野は、「動物生産」から「動物医療」、「生命医科学」、「動物衛生・公衆衛生」に至るまで、多岐にわたります。 詳細については、各研究室のHPをご覧ください。

研究成果の一例
2024年
  1. [獣医微生物学] 牛呼吸器病症候群をひき起こすD型インフルエンザウイルスの抗原構造を解明―ワクチン開発が期待―
  2. [放射線動物科学] アレルギー性鼻炎患者の鼻水に 鼻閉(鼻づまり)を悪化させる物質を発見
  3. [獣医生理学] ラットジストロフィン遺伝子イントロン内に存在する精巣特異的遺伝子の発見
  4. [応用遺伝学] 精巣・精巣上体の老化が精子や受精卵の発育に及ぼす 悪影響を発見 ――加齢男性や畜産動物の不妊治療法の開発に期待――
2023年
  1. [獣医外科] 犬の口腔扁平上皮癌の悪性化メカニズムを発見 ――治療や診断に役立つ可能性のある新たな分子を発見した――
  2. [獣医臨床病理学] 犬の特発性てんかんの抑止にドコサヘキサエン酸が効く
  3. [獣医臨床病理学] ネコの多発性嚢胞腎における新しい遺伝子多型を発見
  4. [獣医臨床病理学] 人と犬のがんに共通した転移メカニズムを発見した ――悪性黒色腫の治療につながる世界初の発見――
  5. [獣医解剖学] マウス精巣から卵巣への性転換! ――胎子精巣内に眠る卵巣前駆細胞の発見――
  6. [獣医行動学] ラットとドブネズミの恐怖を緩和するフェロモンを同定
  7. [放射線動物科学] 皮膚に侵入してきたハチ毒の吸収を抑える生体防御機構の発見
  8. [獣医微生物学] D型インフルエンザウイルスの高温感受性株を作出:弱毒生ワクチン開発に期待

お問い合わせ先

 専攻については、
 ・学部:専攻長 内田 和幸(auchidak[at]g.ecc.u-tokyo.ac.jp)
 ・大学院:専攻主任 金井 克晃(ykanai[at]g.ecc.u-tokyo.ac.jp)
 ・大学院進学: 松脇 貴志(amwakit[at]g.ecc.u-tokyo.ac.jp)
 にお問い合わせください([at]を@に変えてお送りください)。

 動物の診療につきましては、附属動物医療センターのホームページをご覧ください。
 その他のお問い合わせ先については、こちらをご覧ください。