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国立大学における獣医学教育に関する協議会 議事録 |
文部科学省に提出した調査報告書 2003.7.28 PDF |
国立大学における獣医学教育に関する協議会(第6回)議事要旨(案) 1.日時 平成15年10月6目(月)10:00〜13:00 国立大学における獣医学教育に関する協議会(第5回)議事要旨[案] 1.日時 平成15年7月28日(月)14:OO-16:00 4.配付資料 (3)唐木氏から資料3に基づき、次のとおり説明があった。 (4)事務局より、資料4について説明の後、次のとおり意見交換があった。 6.その他 |
国立大学における獣医学教育に関する協議会(第4回)議事要旨[案]
1.日時 平成15年6月16日(旧)10:30〜12:30 5. 議事 (2)資料2に基づき唐木氏から次のとおり説明があった。 (3)唐木氏の説明に関して、次のとおり意見交換があった。 (4)資料3について、事務局から説明があった。 (5)資料4に基づき、大森氏から次のとおり説明があった。 (6)この後、次のとおり意見交換があった。(O:協力者、●事務局、■農林氷産省) (7)資料5について事務局より説明があった後、次のとおり意見交換があった。 6.その他 |
国立大学における獣医学教育に関する協議会(第3回)議事要旨(案) |
1.日時 平成15年5月12日(月)14:00〜16:00 2.場所 文部科学省分館 201・202特別会議室 3.出席者 (協力者)梶井 功、大森伸男、唐木英明、喜田 宏、黒木登志夫、酒井健夫、島田壽子、杉村征夫、鈴木直義、長尾 拓、林 良博、山岸 哲の各氏 (文部科学省)高等教育局徳久専門教育課長、吉村専門教育課課長補佐 他 (農林水産省)生産局畜産部小野寺衛生課課長補佐 4.配付資料 資料1 前回(第2回)議事要旨案 資料2 国立大学における畜産学関係教員数 資料3 国立大学獣医学科在学者数(出身都道府県別) 資料4 私立大学等経常費補助金の算定方法(平成15年度) 資料5 小動物診療獣医師関係資料 資料6 大森委員提出資料(6年制獣医師に関するアンケート調査報告(抄)) 資料7 唐木委員提出資料 7-1 獣医学科卒業生を対象としたアンケート調査報告(抄) 7-2 各国獣医学教育授業科目の比較 5.議事 (1)資料「前回(第2回)議事要旨(案)」について、意見がある場合には5月19日(月)までに事務局まで連絡することとし、最終的な文面の調整は座長に一任することとなった。 (2)資料2〜4について事務局、資料5について農林水産省より説明があった後、大森、唐木の各氏より提出された資料6及び7に基づき、両氏から獣医学教育の現状について、次のとおり説明があった。 ○大森氏の説明 @獣医師に対するアンケート調査結果 「獣医学科で得た知識、技術」について、「不十分」または「不十分なものが多い」という回答が半数以上を占めている。 不十分な科目としては、臨床関係の教育と、畜産学関係、動物行動学、動物福祉、関係法規といった獣医学に関連する分野をあげる者が多い。 職域別に見ると、就業上必要な知識に係る科目について不十分と感じる者が多い。 A獣医師を雇用している事業所に対するアンケート調査結果 「採用した獣医師が事業所の要求を満たしているか」については、「十分満たしている」「ある程度満たしている」とする意見がかなり多いものの、「6年制教育を受けた獣医師の知識技術は、4年制教育を受けた獣医師と比較して優れているか」について、「どちらともいえない」「やや劣っている」が53.5%と、6年制教育を受けた獣医師が4年制教育を受けた獣医師より必ずしも高い評価を受けているという結果は得られなかった。 事業所が大学に望む点としては、診療関係分野では、臨床関係の知識・技術の充実を、その他の分野では応用関係の知識・技術の充実をあげる意見が多い。 B獣医学系大学の教員に対するアンケート調査結果 「講座数及び教員数の充実が図られているか」について、「全く図られていない」とする回答が、私立30.9%、国公立が69.2%となっており、国公立は私立に比べて充実度が低い結果となった。 施設等の充実、教育内容の充実についても、私立より国公立の方が充実度が低い結果となった。 C調査結果のまとめ 結論として、教育年限自体は6年制に移行して修業年限は長くなったが、教育研究の質の充実というものがなされていないことが指摘されたと考えられる。特に臨床・応用関係の教育の不足が獣医師・事業所の両方から指摘された。 ○唐木氏の説明 @卒業生に対するアンケート調査結果について このアンケートは獣医学科の卒業生が自主的に行ったものである。 在学中に受けた知識の習得について、基礎系の知識については満足とする意見が不十分とする意見を上回っているが、臨床系の知識については75%が「不十分」「かなり不十分」と答えている。自由記述では、「基礎と臨床の接点がわかりにくい」「講義・実習、教官、講座が足りない」などの意見がある。 技術の習得については、基礎系の技術は「満足」と「不満足」がほぼ拮抗しているが、臨床系については「不十分」「かなり不十分」が70%と多かった。自由記述では、「臨床について2週間の実習では不十分」「卒論にかなりの時間を割く」「大動物について資格の得られる人工授精の教育が全く行われていない」「大動物の実習が非常に少ない」「内科学は大動物が専門で小動物の実習はほとんどなかった」「臨床系の実習については多岐にわたる内容を少人数の教官が多忙な診療と並行して行っている」「全体的に技術は下働きをしながら見て覚えよという雰囲気であった」などの意見がある。これらは、臨床を担当する教員が少ないこと、看議士に相当する臨床支援職員がいないこと、内科と外科の大くくりの教員組織しかないなどのマイナス要因があり、十分な実習ができていないことによるものと思う。 「社会における必要性・重要性に対し教育が不十分と思う科目」との設問では・臨床系のほとんどの科目について不十分とする意見が多いほか、放射線学や伝染病学など講座の置かれていない科目について不十分を指摘している。自由記述では、「現場では食欲がない、痒がる、目が赤いなどからスタートするが、教育は○○病・○○病という各論から始まり終わる。より現実的な実践的な教育を望む。」との意見がある。海外では当たり前になっている、プロブレム・べースド・ラーニングなどの実践的な教育手法が我が国ではまだ十分に行われていないことからこのよう意見が出てくると考えられる。 A各国の獣医学教育科目について 欧米の大学では、臨床ローテーションが高学年次に授業の中心となるが、我が国の国立大学では、ごく一部の大学しか実施していない。 欧米の大学では卒業論文は課されていないが、我が国の国立大学では卒業論文が高学年次の中心となる。 欧米に比較して、臨床関連科目、動物生産関連科目について、開議されていないかあるいは一部しか開講されていない課目が多く、これらの課目は、アンケート調査結果においても不十分とする意見が多い課目である。 (3)この後、次のとおり意見交換があった。(○:協力者、●事務局) ○鳥取大学には畜産学関係の教員はいないのか。 ●獣医学科以外の教員で言えば、そのとおりである。 ○照会されたこのようなアンケートは、他大学ではやってないのか。 ○宮崎大学のみである。 ○獣医師会のアンケート調査はこれ以外はやっていないのか。 ○やっていない。 ○このアンケート調査は数年前の実施であるのでほとんど現在と同じと捉えて良いのではないか。6年制教育を受けた獣医師に対して、回答数1,389件という大規模な調査結果、ほとんどの事業所は十分満足あるいはある程度満足と言っているが、営業分野だけがそうではないのはなぜなのか獣医師会としてはどのようにお考えか。 ○事業所の70%が都道府県の県庁サイドの回答結果で回答数に偏りがあった。応用分野としては6年制修了者と4年生修了者の差はあまりなかったと読み取っていただければ良いと思う。 ○家畜内科学、家畜外科学、家畜臨床繁殖学、獣医放射線学、産業動物臨床技術、小動物臨床技術は臨床科目なので不十分科目ワースト10に入っているのは予想通りであるが、公衆衛生は公衆衛生関係以外に従事している者以外は足りないという認識がないということになるが、そういう強い偏りがあると解釈して良いのか。また、畜産関係について足りないとする意見が以外と多いのはどう考えるべきか。 ○資料6の10ページの表中、各職域別のシェアは、地方自治体の農水部門が23.5%、公衆衛生部門が21.5%、団体・会社の診療施設が11%、団体会社の試験研究機関が2.2%、小動物診療施設が35.3%という分布となっている。公衆衛生の職域従業者公衆衛生が必須とする意見が一番多かったが、ただ、全体のシェアからトータルの順位は高くなかったということしか読み取れない。 また、畜産関係が足りないということについては、都道府県の農水関係と団体・会社の臨床診療の獣医師のシェアが高く、畜産関係全体についてもう少し勉強したかったがこの部分についてのケアが少なかったと感じているのではないか。同様に産業動物診療分野についても生産農家へ指導する上で、この部分について不足していたという結果になったのではないかと思う。 ○地方公務員で公衆衛生に就いている人は公衆衛生が足りなかったと言っており、地方公務員の農水関係で見ると畜産関係が一番必要だった。また団体・会社の診療関係でも2番ということになっている。また、小動物臨床関係従事者では小動物診療技術が最も高く、動物行動学のような臨床にとって必要な関連科目も3番目と高いとなると、これから言えることは、その分野の従事者はその分野に関する教育が足りないという、当たり前と言えば当たり前だが、見事な相関がある結果となっている。 ○まさにその分野に就きながら、その分野の教育が足りなかったということは、問題があると言えば非常に問題がある。 ○公衆衛生については、卒業生の調査結果でも不満としている学生は少ない。これはなぜかというと、ひとつは公衆衛生の教育内容に非常に問題があるという気がする。公衆衛生分野に進んだ学生が自分達の領域が公衆衛生の学問をバックグラウンドとしてやっていると思ってはいないのではないか。むしろ微生物学や人獣共通伝染病などの臨床分野を必要としており、公衆衛生で教えていることと必ずしもフィットしていないというようなことがあるのではないか。調査の中では、疫学が不足だという意見はあった。 ○資料7−2は、諸外国については、ベルリン大学、ウィーン大学、ケンブリッジ大学、コーネル大学とそれぞれひとつひとつの大学についてまとめているが、日本の場合、国立大学卜―ルとしての統計になっている。本来、個々の国立大学ごとに比較しなければならない。講座は各大学ごとに見ると極めて少ないのではないかという気がする。 ○その通り。獣医師国家試験の関係で、国立大学の教育科目は全国どこでもほとんど同じである。どの講座があるかというのは大学でかなりバリエーションがあるが、どんな科目を教育しているのかということについては90%同じである。そういう意味で、国立大学は一緒にして記述してあるが、各大学別に記述してもほとんど変わらない。ただ若干違うところは「△」で示してある。これについては開講しているところもあり、開講していないところもあり、ということである。 ○当該大学の先生が講義をしているのか、非常勤講師がしているのかということについては違いがあるのか。 ○非常勤講師にお願いしているのも「△」の中にある。 ○「○」がついている中ではどうか。 ○「O」の中でも非常勤講師が担当しているものは相当ある。 ○そこは大分違う。 ○両委負より提出された2つの資料は、この協議会にとって非常に重要な資料だと思う。特に卒業生のアンケートというのは、まさにこれに従って改善していくことが大事なのではないかと思う。特にこういうアンケートを卒業生自身がやったというところが、学生自身が非常な危機感を持っているということのひとつの現われではないかと思う。 いくつか質問があるが、国立大学の獣医学科の中で規模の大きな北大と東大で、もしアンケートを取ればいったいどういう答えがでるのだろうか。満足しているという答えが出るのか、それとも同じような傾向で不満という答えが出るのか。 2番目に、卒論のことが学生のアンケートで出ており、先ほどの説明でも最後の2年間で8単位を取得するということになっているとのことだった。自分自身、獣医学科の教員たちと、どうやったらカリキュラムを改善できるかという話し合いをしている中で、獣医学科が卒論を課しているということを話を聞くまで全く知らなかった。医学部の学生に卒論を課すということはあり得ないだろう。なぜなら医学部は臨床教育を充実してやっていく、そのために国家試験もある。同じように国家試験があるところで卒論を課しているということは非常に驚いた。例えば、薬学も卒論はない。そういうところで卒論を課しているということは、6年制になったとは言いながら、実は獣医の教員自身が、「4年+修士課程」という考えから抜けきれないのではないか。それはやめたらどうかと獣医学科の教員に言ったが、それに対しては結構反論があった。学生が最後の2年聞入ってくると研究に便利だからという本音も随分あると思う。しかし、今問われている獣医学の教育の問題を考えたら、もしどうしても学生に卒論のような研究の協力をさせたいのなら、学部の2年生、3年生、あるいは4年生の時に1年くらいやったらどうか。東大の医学部では学生が4ヶ月くらい各教室に行って研究に従事するという取り組みがあって、それはそれで非常に良い制度だと思っている。最後の2年間や1年間は、臨床ローテーションをする。例えば産業動物が足りないというのであれば帯広畜産大学や岩手大学にお願いしましょうと、そして小動物については近所の獣医療施設に行ってそこで実施してもらうというように、積極的にローテーションしたらどうか、ということを言っていたのだが、まさにそれと同じ結果が出たということで、自分の意見が間違っていなかったのではないかと思っている。 ○なぜ卒論が未だに必修になっているのかという最大の理由は、ひとつは御指摘の通り卒論の学生がいないと先生方の業績が上がらないというのが本音としてあることは一部は確かだろう。しかし、6年制にした時、卒論を無くそうと我々は随分努カした。しかし卒論を無くして臨床実習をやるとしたら、臨床の先生を何倍にも増員しなくてはいけない。内科と外科の2講座で2年聞のローテーションなどとてもできない。臨床ローテーションをするためには、検討してみると臨床講座が最低6講座、教員18人が必要になるということとなり、随分努カをしたがそれはできなかった。そうすると、今までどおり修士課程のスタイルで卒論研究をさせるのが一番便利であるという、非常に現実的な理由から続いて来てしまっているということが最も大きな理由である。我々は途中で何度も変えようとした。今後実施すべきカリキュラム案というものに常に出てくるのは、卒論は完全に廃止ではなくて選択制にしよう、一部の学生は基礎系に行くのでそういう学生には卒論は残しても良いだろう。しかし、これはあくまで選択であって臨床系に行く学生は、8単位の臨床の演習をしてもらうということで、最後の2年間は選択制で実施したら良いのではないかというプランが出ている。しかし、東大でもこれを実施するだけの臨床の教員がいない。そういうことで、未だに卒論が続いているのは非常に残念なことだと私も思っている。そういうことで、最初の質問で東大について言うと、基礎系の学生は講義の内容も実習の内容も卒論の内容もかなり満足をしているが、臨床の学生は非常に不満に恩っている。臨床の学生が臨床の講座に行って臨床のことをやっているが、臨床をやりたい学生がもし基礎の講座に配属されたら臨床をやるチャンスがほとんどない。その辺のところが学生にとって非常に不満だという話を聞いている。北大についてはどうか。 ○科目については北大も東大も各大学も斉一教育で同様だが、ただ北大と東大は非常勤講師の割合が少ないということだと思う。ただ、例えば私は、ウイルス学、細菌学、免疫学、家畜衛生学、その他いろいろと担当しており、学生は不満だろうなと忸怩たる思いがする。それだけ基礎に関しても教官は足りない状況である。北大の場合は東大よりも学生がのんびりしているということもあるかも知れないが、私の教室にいる5年生の3人のうち2人は臨床に進みたいという希望を持っている。「臨床に進むのにどうして来たの」と聞くと、「今しか基礎の研究はできない。この研究をちゃんとやれれば臨床もできると思う」と答える。先ほど御説明があったように、臨床の場合には国家試験を通ってから5年くらい小動物の見習いとして安い給料で臨床の技術を覚える。大動物の場合には、農業共済で先輩について回って、これも5年くらい自分で診療ができるようになるまでトレーニングしてもらうという状況になっている。学生はそれを知っているせいかも知れない。 ○東京大学では臨床分野に就く者はほとんどゼロに近い状況が続いてきており、何年間に1回ずつ小動物臨床に行く程度だった。最近はようやく小動物臨床に行くという学生が出てきているが、いかに東京大学は研究重点大学と雖も、10名は毎年臨床に行ってもらいたいと思うが、残念ながらその状況ではない。したがって、農林水産省の資料では、毎年1000名くらいの新卒の就業者のうち466名、約5割が小動物診療獣医師として就業したということであるが、それとは東京大学も北海道大学も違って臨床には就業していない。最近は希望者が増えつつあることは事実で、少なくとも複数人が小動物臨床あるいは大動物臨床に就きたいという状況はある。 卒論は先ほど言われた通りだが、臨床実習について残念ながら獣医療の世界では大病院というのはない。資料5にあるとおり、診療従事者数が9116名。診療施設が8143箇所だから、1施設に1人くらいしかいない。最近は東京付近には10名以上の獣医師が診療している獣医療施設も増えてきており、そういうところで臨床実習ができるのではないかというのはあるが、やはり、外国の獣医科大学にはあるようなオープン・ラボ形式、つまり、設備は大学が用意してそこに獣医師が患畜と一緒に来て診療しながら大学全体としての活性化を図るというようなことが必要である。それは、獣医師にとっても最先端の大学の施設を利用しながら、しかも指導を受けながらやるという、そこは非常に学生にとって学びやすい場所である。法人化されれば別であるが、現在までの国立大学の仕組みではちょっとそれは馴染まないという状況があった。しかし、そういうことを望んでいる学生が増えていることは事実だと思う。先ほどの質問の答えとしては、日本の大学の授業科目はほとんど金太郎飴的になっており、資料7−2を各大学ごとに書いても似たような状況になると思うが、問題は、日本の獣医学科卒業生の就職先のダイバーシティ。欧米の大学で臨床獣医師になる比率が50%以下の大学を探すのは無理だが、日本の場合、就職先のダイバーシティが広いので、ひとつの大学ですべてを満たすようにすると、欧米の大学以上のもっと大きなものを作らないと要求を満たせないということになってしまう。したがっての獣医学大学は、それぞれある程度個性化せざるを得ないのではないかと思う。もちろん獣医学という非常に専門的な教育であるので、教育の均一性と大学の個性化というのは、出口のところのダイバーシティを見ながら考えるという方向に行くのではないか。 ○現実の問題として東京大学で臨床分野を選択する学生が少ないということはそのとおりである。ただ、それがなぜなのかということについて考えなければならない。それは、我々が学生のころから東大は研究重視なのだ、臨床よりも基礎をやるべきだ、という非常に強力な教官の方向付けが常にある。学生が獣医学科に来た時は8割程度が臨床をやりたいと言っているのだが、卒業するまでに8割が基礎志向となる。学生の希望が途中で変わっても希望は希望なのかも知れない。ただ、それは東京大学がどういう獣医学教育をすべきなのかという確たる理念を持ってやっているのかどうかは私自身そこに長い間いながら非常に疑問に思っていた。結果としてそうなっていることは確かであるが。 ○国立大学、特に東大とか北大で学生がなぜ臨床志向にならないかと言うと、はっきり言って臨床の授業内容が非常に不満足だからだと思う。レベルが低いからだと思う。満足するような臨床の知識と技術がそこで学べないから、あるレベルに達している講座に入るのだと思う。したがって、それは大学の中で要求しても叶えられないので、より高いレベルで学べる基礎を学んで、卒業してから臨床技術を身につけようという志向にならざるを得ないのが現状なのだと思う。その結果、先ほど卒後5年くらい見習いをすればと発言があったが、就職先自体も元々は獣医師教育として専門性の高い教育を受けている人が非常に少ないわけで、開業で受け入れるとしても徒弟制度みたいなところで臨床技術を身に付けなければいけない。私が今弁護士として対応している獣医療トラブルでは、飼い主から要求される水準の知識と技術が獣医師にはない。飼い主から「先生いったいどういうことなんですか」と聞かれても、病気を診たときにどのように病態が推移していくのかという知識をあらかじめ持っていないので、飼い主に説明することができない。知鐵と専門技術が乏しいためにインフォームド・コンセントができないのである。獣医師会がインフォームド・コンセント徹底宣言というのを打ち出して、なんとか獣医師にそれを徹底させるようにしても、ベースとなる知識と技術が足りない、社会の要求に応えられないのである。これが非常に社会的問題としても出ており、それは大学を出た後に身に付けられるなどという問題ではない。それを身に付けられる場は大学しかないので、そこでもっと充実した臨床教育というのをやらなくてはならないと思う。北大と東大は学生の人数が少なくて、教員数は学生一人当たりに対して多いということは、必ずしも内容の充実を意味するものではない。臨床の部分が足りないことは、学生の人数の問題では充足できない。獣医師会のアンケートでもあったとおり、すべての教育環境が乏しいというところに一番問題があるので、それは人数を増やして設備も充実させて教員の対象分野をもっと広げて充実させる以外に日本の獣医学の臨床教育を高めるという方法はないのだろう。結論が見えている気がする。 ○だいたい皆さんと同じ意見だと思うが、4年制から6年制になってもなんら変わるところがなかったということに一番問題があるのではないかと思う。もう問題点は皆さん御理解されていて、ただ、なかなかそれが解決できない状況にある。何が解決できないかというと、教員が足りないということだと思う。やはり獣医学の特徴は臨床をやっていける場所がある。そこを活かしていかないと理学部の生物学科など他の学部とあまり変わらなくなってしまう。ただ、日本の教育が細かい実験を重視する方に行きがちだというところは別に獣医学に限ったことではない。私はMlTにいたことがあるが、ああいうところのマスターコースは、実験をあまりやらないで、教育を非常に熱心にやって、基礎的な学問をコースできちんとやらせるが、日本の修士課程はほとんどおざなりで実験一本やりになっている。そこでさえ問題があるのだが、特に、獣医学の場合は学部6年制にしたわけだから、やはりそういう面で獣医学らしい教育をやっていかなければならないし、やるべきだと思う。そこをどう解決するかというと、やはり人数を増やすしかないと思う。 ○卒業生のアンケートの回答率が非常に高くて自由記入欄にきちんと真剣に答えている。これほどの不満が、もし他の農学系学科であったら学生はまったく来ない。私たちも2年に1回卒業生を含めてこういうアンケートをやっているが、このような状況になったらもうだめだ。ただ獣医学科の場合は、競争率10倍以上の非常に安定した志願者がいて、その後の就職もきちんと用意されているので、これだけひどい状況でも受験生が集まってくるということだが、もし、これが外部に漏れたらどうなるのか。これは公表資料なのか。これはかなりショッキングな内容だ。これは何とかしなければいけない。東大みたいな研究志向のところとそうではないところとはちょっと違うのかも知れないが、これを見ていると統合はやむを得ないという気がかなり強くする。 ○医学部でこういうアンケート結果が出たら国民の大問題になってしまうが、物言わぬ動物が相手だからやって来られたのだというところが正直なところだと思う。先ほど発言があったとおり、内科と外科の教授が1人ずつしかいないというのは、やはり信じられない。だから卒論をする、だから統合、ということの他に提携獣医療施設を使うとか客員教授を活用するとか、ともかく現在でもできることをすぐにでもやらなければならないのでないか。自分自身医学部出身なので医学的な発想が多いが、例えばこれから研修医というのは大学病院以外の病院に半分くらいは出なければならないということになってきている。したがって、そういう形でちゃんとした教育をできるということを現在の段階でもいろいろ考えなければならないのではないか。 それからもうひとつ、薬学が6年制になろうとしていて、修士課程を上乗せした形になるかどうかということが問題になっている。ただ薬学の方はもっと獣医よりもはるかに規模も需要も大きいし、私立が非常に多くあるという点が違うが、獣医学と少し似ているのは、東大の薬学部はほとんど薬剤師を志向していない、研究を志向している。それはそれでいいかも知れないが、そういう人があちこちの薬学部の教授になるということが、心配である。そういう意味で、獣医学がきちんとするというのは、薬学に対しても模範ともなると思うので、しっかりと考えていかなければならない。ともかく修士論文まがいの卒論はやめて、何とかして獣医療をするように今の5年生6年生の教育体制を考え直すのがひとつの切り口だろうと思う。 ○卒論の点で私学はどうか。 ○私学も同様に卒論を課している。違うのは小動物臨床に行く人数とパーセントが高いということである。今の話の中で二つ問題点があると思っている。ひとつは、どこに最終的な方向を見出すか、例えば小動物臨床教育を目指していくのか、あるいは社会獣医学というような公務員も含めたものを目指していくのかによって、かなり方向性が違ってくると思う。卒業生のアンケートと獣医師会のアンケートは全く一致していると思う。というのは、卒業生についても52%が臨床に従事している卒業生が書いているということ。それから獣医師会の分についても38%が臨床に現在いる人が書いているということで、結果として不満足であるということがこれは絶対的であろう。ただし、その次にその不満足のどこを充実させるかという方向性が検討されていない。今後、方向性をどうするかということも必要ではないかと思う。国家ライセンスが使えるような教育に教育現場が耐えられるようなものを構築しなければならないというのが結論だろうが、方向性についてある程度検討しなければいけないのではないか。 ○私は東大の薬学科にいたが、薬剤師の業務に関わることをやろうとすると、非常にマイノリティで苦労した。獣医学の話を聞いていて違うと思うのは、教室の後継者を選ぶ時に、臨床の教室が増えないというのはそういう伝統があるからなのか。我々のところはそういうことはなくて、必要だと思ったら違う領域を持ってくるというようなことをやり、徐々に臨床系が増えてきているという実態はあるのだが。獣医学の場合は、あまりにも人数が少ないから基礎の教員を少し減らして臨床の教員を増やすということができなかったということか。 ○資料7−2を見ていただければお分かりになるとおり、基礎だけで10科目国家試験関連科目があるが、どこの大学も9講座から10講座しかない。解剖をやらないで臨床をやるわけにいかないし生理をやらないで臨床をやるわけにいかない。そうするとやはり基礎の講座優先ということになってきたということである。例えば解剖と生理を合わせて1講座にして、その分を臨床にしようということができれば良いが、それは不可能で今までやってこられなかったということだと思う。 ○ということは、やはり全体の枠を大きくするしかないのか。 ○そうしないと不可能である。 ○皆さんと意見は変らないが、やはり世界に比較しての一番弱いところは、公衆衛生領域と臨床ということだろう。我々も色々と自分たちで検討している中で、臨床は非常に大事だと言うのだが、実際に大動物、小動物と分けてみても動物自体がかなり減ってくるということで、果たして臨床教育について全部の大学が人員を拡充するだけの必要性が本当にあるのかと思う。先ほど意見があったが、各大学に重点領域というか、こういうものに力を入れるというような、ある程度棲み分けをして行かないと、全部が理想に沿って教官数を増やすということは日本の獣医領域では不可能ではないか。公衆衛生との獣医畜産業と結びつけて考えると、畜産学関連教育をかなり取り入れないと実際に日本で役に立つ獣医師を育成するのは難しいのではないか。それをどうカリキュラムに入れていくか。先ほど卒論という問題があったが、卒論があるがために重要な科目を入れようと思っても入れるところがない。したがって、ひとつの例として5〜6年目のところにいろいろな科目を入れるような模索というのが非常に大事だろう。先ほど御発言の卒論を使う時間を別に考えるということに私も同じ意見である。 ○東京大学の獣医学科の卒業生で獣医師の資格を取ることが自分のその後の仕事に影響があるのか。 ○研究者にとってはあまり影響がなかったということは言えると思う。例えば大学では医師免許を持っていると手当てが支給されるが、獣医師の場合はそれがない。その点ではまず大学の場合ほとんど役に立っていない。実際に我々もそうだが、過去のアンケートで、獣医師のライセンスは必要かという問いに対して、特に研究関係ではあまり必要性を感じないという意見が多かったと思う。先ほど御発言があったが、修士課程で獣医師を養成していた時代は、教員によっては「国家試験を通らなくて良いからきちんとした論文を書きなさい」、「きちんとした雑誌に投稿できるくらいのレベルまでやりなさい」と指導をしている教員がいたことは事実である。今は、私が知る限りではそういう先生はいなくなっていると思う。プラスアルファのメリットがあるかないかと考えると、獣医師の免許がなければできない業種があり、そこでは絶対的に必要であるが、そうではないいろいろな分野の人と競合するところにおいて、現実的にメリットはない。しかしながら、多くの若い人たちは現実的なメリットではなく、獣医師免許を持ちたいということ自体を希望しており、東京大学でもそれを支援するという体制に今はなっている。 ○関係法規というものがあるようだが。 ○各大学で獣医学のあるべきカリキュラムを作成しているがまだ偏っている。例えば動物福祉関係とか、職業倫理とか生命倫理、それに法規関係はあまりにも少なすぎる。つまり教員の本音は、学生の要求と実際にそこに人を置くのか、20人いたら必ず専門の人を雇うかということについては、今のところそういう意欲はない。社会的な要求と大学の教員の具体的な動きとの間には乖離がある。医学部でもそうだと思うが、例えば医学部でも文系的な人を学部に取り込むようなことに他の教員は積極的でないとお聞きしているが、我々にとっても残念ながら同じことが言える。 ○第一回の会議でも私は申し上げたが、やはり獣医学という職業教育の場合に、職業倫理とか法学とか、心理、動物心理、こういうものは絶対に欠かしてはいけない。もっと強くこれらは入れていかなければいけない。魚病学のように実際に国家試験科目の中に獣医では賄い切れないような科目があるのだから、これらは専任でなくても関係の専門家に協力教官という形などでやっていただくことで良いと思うが、これからますます大事になる人間教育の柱をはずしてはいけないと考えている。 ○獣医関係法規というのは、国家試験の科目になっているにも関わらずあまりやっているところはないのか。 ○あまりない。教員がいないので。 ○全国的に公募すれば教員は集まると思う。しかし、そういうところに熱心ではないということだと思う。 ○それでよく国家試験が通るものだ。 ○それは学生が勉強しているから。 ○おそらく関連法規は各学科目の関連しているところで教育しているのではないかと思う。学校によっては非常勤講師にお願いしているところもあるのではないかと思うが、専任教員はおそらくいないと思う。 ○専任教員がいなくても良いとは思うが。 ○例えば公衆衛生なら公衆衛生の科目の中で関連している法律を教育していると思う。 ○しかし、資料7−2では「△」印になっている。 ○ちなみにどういうことを教えているかというと、獣医師法、獣医療法、薬事法、家畜衛生行政法規、公衆衛生行政法規、動物の保護管理に関する法規、放射線防護基準、ICRP勧告その他、家畜改良増殖法、そういったものを教えることに国家試験出題基準ではなってる。 ○本当に勉強している人にとっては、いろいろな判例などは臨床的にも実際的にも役立ち、非常におもしろい科目として成り立つと思うが、そういう教員は、大学の中に現時点ではいない。そういう経験を持っている人を公募をすれば、様々な人が来てくれるのではないかと思うが。 ○関係法規といっても、どの程度のものが要求されているのか。今説明のあった国家試験の法規はかなり過大な要求ではないだろうか。 OX線を使う以上は、放射線防護基準を知る必要があり、麻薬を使う関係から、麻薬取締法や覚せい剤取締法は知っていなければならないし、というようにいろいろ関わってくる。全く知らないわけにはいかない、さわりだけは知っている必要がある。 ○「さわり」というのはどの程度なのか。獣医師の国家試験として要求される水準としては。そんなに専門家は必要ないと思うが。 ○今のような体制でも試験には通っていると理解していただければ良いのではないか。 ○試験問題のレベルがどうとかいうことではなくて、社会に出て実際に仕事に就いた時に基本的にどういう規制があるかという知識が、中身についてはその時に調べれば良いのだが、自分のやっていることは祉会の中でどういう位置づけをされていて、どういう規制があるのかという、そういう程度のレベルの知識というのは絶対に必要である。それを全然分からないまま社会に出て行くと学生が戸惑う。法規というのは、早い時期ではなくて、ある程度獣医学自体の知識を持った段階で、社会との結び付きの関係で把握できるようになった時に、ある程度の知識で良いと思うが提供されれば役に立つと思う。そのことと直接関係はないが、基礎と臨床という問題も今までの教育というのは完全に基礎は基礎、臨床は臨床と分かれていたような気がする。そうではなくて法規と実際の実務との関わりと同じように、学部に入学した段階で解剖学、生理学、薬理とそういうのを基礎として勉強させられるのでうんざりするところがある。そうではなくて、解剖というのは実際に生きた動物がどうやって動いてそれが病気になった時にどうなるのかという、臨床とのフィードバックという、有機的に結びついて初めて基礎の意味が出てくるので、そこのところを結びつけるというのが臨床で、今手薄、教員も手薄でありいろいろな部分が手薄であるがために、「基礎の教員はちゃんといます」、「これだけの教育レベルはやっています」と言うけれども、学生の立場からするとそこを結びつけるものがない。法規の問題にしても実際に現場の仕事をした時に、獣医療というのはどのように位置づけられて何をやるのかという意味合いを分かって初めて法規制の意味が分かる。そこのあたりの認識を持って教育を組み立てていただきたい。 ○JABEEで問題にしていることもその点である。 ○獣医学の場合、臨床と基礎を結びつける大学病院というのはないのか。 ○ある。 ○どこにいくつくらいあるのか。 ○獣医学科を置く大学にはどの大学にもある。 ○人間の大学病院くらい大きな規模なのか。 ○それは全然違う。ひとつの例を申し上げると、東大には東洋一の家畜病院があるが、それは欧米の個人診療施設の平均くらいの規模である。それで東洋一である。 ○病院を充実させるという運動はしているのか。 ○それはまさに獣医師会の問題。 ○まさに臨床の学生教育と臨床実務を一体化するというのが教育研究の究極的な目的だと思う。大学の講座の充実プラス当然臨床を担当する病院の拡充強化ということを両面的にやらなければいけないと考えており、いろいろな方面にお願いをしている。御指摘のとおり現状では非常に規模が小さい。特に都会の大学では小動物臨床に偏っており、拠点的な整備ということを考えていかなければならないのではないかと思っている。 ○ひとつの大学で持てないなら、地域でかなり大掛かりな獣医療施設を設置するとか、何とかする方法を考えたらどうか。人間の場合には大学病院に長蛇の列を作ってまで行くが、自分の動物が病気になった時にそこまで行こうと言う人はあまり聞いたことがない。人気はあるのか。東大に行けば治るとか。 ○東大は非常に人気がある。国立大学の家畜病院の収入の半分が東京大学という状況である。3億5〜6干万円の収入がある。先ほど発言があった東洋一というのは収入で見た場合である。患畜数も収入とパラレルなので小動物で見ると東洋一である。しかし大動物関係で言えば東洋で最低かも知れない。問題は、各国立大学の家畜病院の収入の半分は東京大学だけで売り上げているというくらいだが、それでも本当に小さい。ましてや他の大学はもっともっと小さい。さらに問題なのは、内科と外科しかないから総合と言えるかどうかは分からないが、一応総合病院と言えるものは16の大学附属家畜病院程度しかない。例えば6億円くらい売り上げている個人診療施設というのが東京付近に3施設くらいあり、犬山市にはで最も売上の多い診療施設があるが、これらはやはり病院というよりも、やはり個人診療所という感じである。したがって、本当の意味で学生が研修できるような総合病院があればと思う。例えば医師会であれば、鹿児島県には医師会病院というのが県庁の目の前にあるが、そういうものが今のところ皆無なので、小さいと雖も大学病院はそれなりの総合病院で、それ以外は個人病院になってしまうという小動物臨床の非常に厳しい現実がある。 ○今のお話のとおり、獣医療の場合は1施設に1獣医師というほとんどホーム・ドクターである。大きな規模のものが最近は出来てきており、MRIを持っている病院も増えてきているが、それは特殊な例であって、多くの場合がホーム・ドクターである。先ほど、どういう方向性で獣医学をやったら良いかということについて少し話したが、私はふたつしかないと思っている。ひとつは臨床家になるための臨床教育を充実させること。もうひとつ、社会獣医学で公衆衛生と家畜衛生。これは、法律によって獣医師でしか就業できない。例えば家畜防疫やと畜検査は獣医師でなければいけない。これらをいかに充実させるか。前者の臨床の方は動物病院を大きくしてティーチング・ホスピタルを充実させるしかないと思う。そうすると臨床講座の充実と病院の拡充だと思う。後者の方については関連の講座を増やすか、あるいは学外との連携、インターンシップをいかに利用していくかではないか。これから出口管理を十分議論しておけば、獣医学教育の充実に連携していくのではないかと思う。 ○法人化の中で、医学部の病院は大学にとっては赤字を持ち込むのではないかと心配だ が、獣医学科の家畜病院の方はやろうと思えばかなり黒字を持ち込めるのではないかと期待できる。もっと宣伝して周囲の獣医師と連携を取って難しい病気は大学でやるなどとすれば収入は上がるのではないか。その資金を使って、前回発言があったレジデントを増やすことで臨床教育を充実していこうと内部で提案している。国立大学の家畜病院は、今、ちょっと黒字、あるいはちょっと赤字で満足しているが、やる気があればかなりのことができるポテンシャルを持っていると思う。 ○なぜ獣医学科がこんなに人気があるのかという根本的な理由がどこにあるのか。国家資格という男女の差別がない、就職が良いというのがあるのかも知れないが、そこがよく分からない。かなり多くの人が民間の小動物病院に就職してそんなに給料面で良いのか。人気のある本当の理由が分からない。また、これが長期的に続くのかどうか。獣医師の資格がなければ絶対仕事が出来ない分野と、そうではない分野とがあるが、先ほど発言のあった方向性ということかも知れないが、その辺の見通しというのがどうもまだ分かりにくいところがある。 ○給与面では、卒業後開業するまでの研修期問の平均が5年という話はさっきから出て際いるが、見習い獣医師の平均年収は27歳で211万円である。厚生労働省の調査では同じ年代の一般企業の就職者は433万円。140万円低い。30歳では378万円に対して500万円ということで、給料は非常に低い。見習い期間はいかにひどいかということは、今日示した卒業生のアンケートに出てくる。今日は一部だけしか抜粋していないが・例えば、「卒業後実践訓練を先輩獣医師の下で働きながらやらなければならないが、先輩獣医師の主観に頼った教育を受けなくてはならず、偏った技術と知識の習得しか期待できない」というような問題など。 ○それを知らないからではないか。そういう実態を知ったら学生は集まるのか。 ○こういう問題があるにも関わらず、やはり小動物臨床に就職したいという夢が非常に大きい。こういう現実は分かっていてもここしか行くところがない。6年間我慢して勉強すれば獣医師になれるのだから獣医学教育にあまり期待をしないというのが、私が聞いた一番悲痛な学生の声である。 ○あまり釈然としないが。 ○しかし、職業というのはそういうものではないか。獣医師の周辺領域の、国家試験のない動物看護士の世界は悲惨も悲惨。なんと表現して良いか分からない。獣医学教育と同じくらいの授業料を納めなければならないところもあり、しかも全国に100くらい学校がある。 ○私から見れば、そんな純真な学生を集めておいて、大学の教員がみんなで一緒になるとかならないとか、そんな勝手なことを言っていたら、これはもう本当に社会的な責任が非常に大きいと思う。 ○このまま議論を続けた方が良さそうなのだが、予定された時間になってしまったので、本日の議論はここまでにしたい。 ○先ほどからの議論のとおり、確かに現状はひどいわけで、どういう結論になるかは分からないが、資料3によるとどの大学も学生の出身都道府県は全く全国的である。ということは、大学同士の統合がどのような組み合わせであっても学生に不利益を与えることはまずないのではないか。それから資料2で畜産学の方が490名もおられるが、先ほど発言があったように畜産関係の教員がいない大学がある。そういうところに獣医学が孤立してあるという不利益が今あるのではないか。これは、これからどういう形で将来発展し得るのかということを考える上で参考になると思う。 ○次回は家畜病院の収入等の現状がわかるような資料を用意いただければと思う。 ○獣医師会で全国的に見て大型の獣医療施設の概要が調べられないか。もし、そのような資料があれば参考になると思う。 6.その他 (1)本日意見交換の中で求められた資料について、事務局において整理の上、関係委員に依頼して、次回以後事務局においてとりまとめて提出することになった。 (2)次回の日程は、後日事務局から連絡することとなった。 以上 |
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