第76回 全国大学獣医学関係代表者協議会記録(案)

日 時  平成14年3月27日(水)13:00〜15:00

場 所  東京大学農学部3号館4階会議室

出席者 ( 会  長 )  唐 木 英 明

 ( 副 会 長 )  酒 井 健 夫

     喜田 宏、梅村孝司、小沼 操

     山田純三、齊藤篤志、前田龍一郎、小俣吉孝

     内藤善久、岡田幸助、三宅陽一、谷口和之

     吉川泰弘、佐々木信雄、小野憲一郎、局 博一

     加茂前秀夫、山根義久、田谷一善、小原嘉明、下田 実、

柴田秀史、桃井康行

     小森成一、北川 均、源 宣之、平井克哉、工藤忠明

     上原正人、島田章則

     徳力幹彦、岩田祐之、田浦保穂

     萩尾光美、村上隆之、立山 晉

     阿久沢正夫、安田宣紘、濱名克己

     佐々木文彦、馬場栄一郎

     加藤清雄、種池哲朗、新山雅美

     小山弘之、天間恭介、前原信敏、小山田 隆

     中村経紀、政岡俊夫、和田恭則、赤堀文昭、茅根士郎、有嶋和義

     渡部 敏、長谷川篤彦、野上貞雄

   (日本獣医畜産大学) 高橋和明、澤田拓士、中條眞二郎

                                      以上 61名

     日本獣医畜産大学:深浦大二郎、佐藤 佐

唐木会長が開会を宣し、本日の議事に入った。

議 事

 T.議事録の確認について

   第75回及び平成142月開催の臨時全国大学獣医学関係代表者協議会記録(案)が承認された。

 U.報告事項

  1.国公立大学獣医学協議会報告(会長 徳力幹彦山口大学教授)

   各大学の再編整備に関する現状について

 各大学において先ず自助努力による教育改善を検討し、次のステップとして再編統合を検討するという動きがあることが紹介され、各大学の現状について、以下のとおり報告があった。

(1)帯広畜産大学

   新学長の方針に基づき、自助努力を目指す。

(2)北海道大学

   概算要求事項として再編整備を視野に入れた、純増38名の大学院新専攻の設置案については、状況が変わったため、これに併設する組織として計画していた「動物由来感染症教育研究センター」についてのみ、平成15年度概算要求することとして、準備している。

(3)岩手大学

   岩手・秋田・弘前の3大学農学部の再編整備計画があり、その中で東北地方に獣医学教育の拠点が必要であるとし、自助努力に向けての検討が進められている

(4)東京農工大学

   宇都宮・茨城・農工の3大学農学部の再編整備計画があり、自助努力案作成に向けての検討が進められている。

(5)東京大学

   新しい大学院の設置に向けての検討が進められている。

(6)岐阜大学

   学内に獣医学部設置を目指しているが、教育改善を第1の目的とする。

(7)鳥取大学および山口大学

   各獣医学科内では、九州大学への再編統合の意思決定はなされている。農学部・大学レベルでは獣医学科と農学部のバーター案が打ち出されたが、現在は凍結になっている。

(9)宮崎大学

   九州大学への再編統合を目指している。

10)鹿児島大学

   自助努力に向けての検討が進められている。

11)大阪府立大学

   既に、本年4月から部局化が実施され、18研究室からなる新体制に移行している。

獣医学教育の再編整備に関する今後の方針について

 国立大学農学系学部長会議において、「72名以上の教官から成る組織が望ましい。しかし、獣医学教育の改善が急を要するので、これに準ずる規模でも、当面その設置を可として支援する。これに準ずる規模としては、18名の教授を含む54名の教官から成る組織が必要最低限であろう。新たな再編は、全国を5ないし6地区に分け、なるべく既存の施設を利用できるよう努めることが望ましい。」という答申が出された。この答申はこれまで協議会で合意された3大学案を否定するものではなく、再編による獣医学教育の改善を鼓舞するものであるので、各大学獣医学科は、従来どおりの方針を持って農学部・学長の説得に努力し、平成15年6月の概算要求を目指すこととした。

2.私立獣医科大学協議会報告(会長 中村経紀麻布大学学長)

報告事項として、@各大学の平成14年度入学試験状況および平成15年度入試日程、A私立獣医科大学における相互評価の進捗状況、B獣医臨床教育担当者会議からの報告が行われた.

    協議事項として、以下の事項について検討を行った。

(1)獣医学教育の充実についての検討を行い、@)教員研修と相互乗り入れ教育に関する事項

A)獣医公衆衛生・家畜衛生・産業動物連携教育に関する事項の2件については結論に至らず引き続き検討していくこととした。また、B)動物介在療法教育検討委員会を発足させることとし、科学研究費の申請を含め動物介在療法教育の在り方について検討していくこととした。

(2)全国大学獣医学関係代表者協議会の平成14年度活動方針案について紹介があった。

(3)入学試験の試験科目において「生物学」を必須とする提案について協議を行った結果、高等学校学習指導要領の大幅改正が2006年に予定されていることから、その時期に合わせて検討することとした。

(4)平成14年度本協議会の総会を6月14・15日の2日間の予定で、北里大学にて実施することとした。その際、任期満了に伴う当協議会の会長・副会長の改選が行われる予定である。

3.その他

(1)大学基準協会による大学院基準の改正について(麻布大学:赤堀教授)

    今般の基準改正の基本は、理念、施設・設備、財政、教員の資格、学生への配慮等をより明確にしたものである。

(2)日本学術会議の近況について(唐木会長)

   ・総合科学技術会議において、日本学術会議の存続についての審議が行われている。今のところ、方向性としては、存続ということのようであり、本年夏に結論が出される。

・科学研究費補助金について、日本学術会議の努力もあって平成15年度から「臨床獣医学」の細目が新設された。これを含め、獣医学領域の枠を維持・発展させるためにも活発な科研費申請をお願いしたい。

・小学校学習指導要領の中に「動物の飼育」について謳われているが、各学校における動物の利用と飼育の実態は良好とは言えない状況がある。このことに関する理論的・学問的な検討が充分でないことがその背景にあり、獣医学分野と学校教育分野との勉強会を開始した。

   ・現在、BSE問題に関して国民の不安が増大してきていることから、学術会議に「BSEに関する検討委員会(座長:唐木東京大学教授)」が緊急に組織された。この問題は獣医学の社会に対する貢献という点で重要であり、その解決を通じて獣医学が社会と接点を深め、獣医学教育の重要性が社会的に認知されることも期待したい。

 V.協議事項

  1.平成13年度決算について

    事務局から平成13年度決算報告が行われ、承認された。

2.獣医学教育の改善について

    唐木会長から、平成14年度全国大学獣医学関係代表者協議会の活動方針について次の4件の事項について説明・提案があり、協議の結果、承認された。

(1)   新たな獣医学教育の規模の「科学的根拠」として、具体的なカリキュラム案の作成するために本協議会に「特別委員会(委員長:局東京大学教授)」を設置して対応する。

(2)   わが国における獣医学教育の改善のために、国公立大学にとどまらず、私立大学の教育改善についても本協議会は積極的に取り組むこととする。

(3)   日本学術会議、日本獣医師会と連携しつつ、獣医学に対する外部評価組織の設置に向けて検討する。

(4)   アジア諸国の獣医科大学と交流を深め、提携の道を探る。

  3.その他

   (1)唐木会長から、私立大学における相互評価について質問があり、私立獣医科大学協議会相互評価委員会の種池委員長(酪農学園大学)から、平成14年度総会(6月)に向けて取りまとめを急いでいるとの報告があった。

   (2)麻布大学政岡獣医学部長から、獣医学教育研究会(学会)の発足に関するアンケートについて趣旨説明を踏まえて協力依頼があった。

   (3)日本動物看護学会(会長:今道友則元日本獣医畜産大学長)から、動物看護に関する教育施設における教育内容が必ずしも充分ではないようであり、教育基準、教科書の整備、資格試験実施などについて検討を行っていることについて理解と協力の依頼があった。

   (4) 次回全国協議会の開催について

      第77回全国協議会は、平成14年9月18日(水)午後1時〜午後3時の予定で岐阜大学において開催することとした。

                                           以 上