以下は、2000429日ソウル大学において開催された獣医学教育国際化のための国際シンポジウムにおいて報告されたものです。韓国の獣医学教育の現状を知る貴重な資料なので、ここに掲載します。なお、原文は韓国語ですが、東京大学大学院農学生命科学研究科Won博士が日本語に訳しました。

 

韓国の獣医学教育の現況と問題点

Park Keun-Shik

大韓民国獣医師会副会長

1.         緒言

 

「教育は百年の大計」である。我々はこの金言を万古の真理と信じている。韓国での獣医術の成り立ちや教育の起源を議論することも重要ではあるが、獣医教育改革の必要性についての議論はより重要であり、獣医教育界だけではなく卒業生の受け入れ側でも論議されてきた。それだけではなく、世界獣医師会でも国際会議の席上で公式な議論があり、韓国政府に対しても正式な論議の要請があった。

先覚者たちはそのような獣医教育における問題を前もって予測し、獣医教育年限を6年に延長し、6年制教育を受ける学生の選抜を行ったが、再び4年制に戻る事態が発生してしまった。その後、約10年を経過して再度獣医教育年限延長が獣医分野で最大の問題となり、総力を傾けてこの問題の解決を推進してきた。その結果、政府もこの問題を認めて1996年8月13日の国務会議で教育法施行令第155条を改定し、1998年度から6年制獣医学教育が始められた。

    当初、我々の目的したところは、獣医学教育年限を4年から6年に延長して、韓国の獣医産業分野からの要求である獣医師の質的水準の向上と時代の要請に応えることができる獣医師を養成することであった。しかし、現時点では4年制教育時代と比べて変わったものは教育期間が延長されたこと以外にない。この問題について、筆者は今まで多くの大学の教授たちと意見を交換した。彼らは等しく現在の状況ではいけないという意見であったので、私は全国獣医学教育協議会から何かの根本的な対策が提案されるだろうと期待したが、4年過ぎて2000年になっても何も提案は無かった。ただあるのは、10校の獣医科大学が競争の結果、自然淘汰でいくつかが消滅する方法だけというものであり、このような極めて無責任な姿勢について私はいたたまれない思いを持つものである。

遅ればせながら、今回幸いにもこの問題をとりあげて論ずる機会をもったので、この問題の解決は現在の世代に属する我々の大きな責任であると思い、危機に瀕する韓国の獣医畜産産業や獣医学教育百年の大計のために、自己を捨て傾国済世の教育者的な姿勢に徹することをお願い申しあげながら、獣医学教育について提言しようと思う。

現在の韓国獣医科大学が持つ問題点は、21世紀に国際的に通用する獣医科大学としての最低基準に合致する施設と教授数の確保がないことである。現在、私立大学を含めて10校ある獣医科大学を、ヨーロッパ又はアメリカ並の国際水準に引き上げる予算と施設の確保ができるか?これは不可能である。すると、次善の策は何があるかをまじめに検討することが今日の討議課題である。

 

2.         獣医術と教育の起源

医術の起源が大昔の人類の原始時代にあるように、獣医術も人類が動物を手なずけ始める時代から行われた。檀君神話にみられるように、始めの獣医術は祈祷、呪願、禁忌、巫呪的な方法と鍼灸、にんにくなどの薬剤が使用されただろうと推測される。三国時代から朝鮮時代までのさまざまな資料に、獣医に関連する記録がある。その中で、高麗祖の文宗30年(1076年)に医術師と卜師と共に獣医博士が第16科22結で配属され、獣医教育が始めて実施された記録があり、この時韓国に獣医制度が存在したことが分かる。

一方、現代獣医学の発生地であるヨーロッパの場合は、18世紀初頭にフランスで牛の疾病(現在、牛疫)が発生し、これを防除するために獣医局を設置し、牛疫防除に必要な要員を養成するために王室獣医科大学を設立した。その後、18世紀末から19世紀初頭には、ヨーロッパの多くの国家では、獣疫の流行を防ぐために防疫及び教育機関を設立した。

韓国の場合は1876年の丙子修好条約により当時の鎖国政策から門戸開放が行われ,1905年に乙巳条約、1906年に総監部が設置されることなどの韓半島の情勢が渦中に巻き込まれた。当時の家畜伝染病としては?疫(山川悪気の病)、ハンセン病、牛疫などの流行があり、朝鮮祖末まではこれらは天災の一種とみなされていた。1870年満州、シベリアから牛疫が侵入し、その後3-4年毎に流行が反復して大きな被害が発生したが、1890年前後には全国的な流行によりその被害は莫大なものとなり、記録によるとピョンアン及びハンキョン道など北部地方での牛疫感染によってピョンヤンでは牛100頭の中で生きて残ったものはわずか3-4頭しかなかった。

獣医学は家畜を治療するためであるが、一方、この家畜から食物を得るためでもある。しかし、その家畜を食べて病気にかかったり死亡する事例が発生したために、動物性食品による危険を減らすために、その対策が始まった。地中海沿岸の初期文明地域では食肉動物の適否を判断する規定であるモセの律法(Leviticus、11:Deuteronomy、14)聖経を始めとして、フランスでは1162年、イギリスでは1319年、ドイツでは1385年に食肉検査が実用化されるなど、当時は食品の適否の鑑別と肉眼検査を主に実施した。 アメリカの場合は1800年代に肉屋が中心となって生産者と消費者のために、また1890年には貿易支援のために病蓄の輸入や食用の禁止などを主内容とする検査法が定められ、1906年に生・死体処理過程別検査や加工場に対する環境規制などを含む包括的な食肉検査法が制定された。

 

3.         韓国獣医学教育制度の変遷略史

韓国の獣医学教育制度の変遷とその時の状況を概括すると次の表1の通りである。

 

表1.年代別の韓国獣医学教育発展の変遷略史と社会状況

年度

獣医学教育機関の変遷

社会の与件と状況

598

 

 

 

1399

 

1504-44

日本皇室の招聘による獣医術伝導,帰国後獣医学校設立したと記録があるが,根拠未確認〔アメリカミシガン大学,スミスコエット教授の著書〕

李朝の正宗元年「郷薬済生集成方」の中で「牛医方」「馬医方」の書冊発刊

家畜の疾病予防の目的として牛,馬,羊,豚などの伝染病治療法刊行

 

 

 

・畜牛による耕種農業

1907

 

1937

 

 

・水原農林学校獣医速成科開設,1回卒業生〔20名〕排出後廃科

・水原農林高等学校3年課程の獣医畜産科新設(日本人対象、馬を主に)

3年制専門学校課程(中学校5年卒業    後入学)1945年まで韓国人30人卒業

中学校課程5年制農業学校獣医畜産科設立(キョンソン,イリ,デグ,ウィズなどの地域に郡農会技手,普通の実務に従事する初級技術人養成)

 

     満州,シベリアなどの隣接国で牛疫の発生

     日本農商務省牛疫血清所をブサンに設立

     2元制獣医教育

     農牛,家畜家禽の伝染病の発生監視と予防薬接種

1945

 

1946

1947

 

 

1953

 

1955

 

 

 

解放と共に米軍政庁管理,厚生部獣医局設置

獣医業務及び教育を米式に転換雰囲気造成

水原農林高等学校%コ水原農林専門大学校%コソウル大学校農科大学に開便,農科大学内に獣医学科新設,畜産学科と分離

ソウル大学校獣医学部に昇格と共にソウルヨンゴン洞旧京城医学専門大学に移転

625動乱によりブサン家畜衛生研究所に避難,ソウル大学校獣医科大学に昇格,ソウルに戻る

1951-1955年まで6獣医学科新設(全北,全南,慶北,済州,慶尚,ソウル市立)獣医師量産体制

ソウル獣医科大学に米国ICA援助資金投入,教授11人訓練,7万ドル機資材援助

 

 

 

 

 

光復と共に連合軍の進駐,38度線を境界に軍政宣布

政界の混乱,政党及び社会団体100余個乱立

1948年政府の樹立

1950625戦乱

1953年休戦協定

1955年農業部分国民総生産の44%占有

自由経済体制と民主制度の定着過程で最低生活を維持する絶対貧困期間

 

 

1960

 

 

ソウル大学整備計画により獣医科大を農科大学獣医学科に格下,水原へ移転

 

1962-1966まで経済開発1次5個年計画(畜産振興1個年計画)樹立推進,工業発展,輸出主導形経済成長戦略推進

1965年食糧増産7個年計画樹立推進

農業関連政府機構改編,農業国策事業に推進

1960年家畜家禽飼養頭数

(韓牛:1,010千頭;乳牛:866頭;豚:1,390千頭;鶏:12,030千頭)

1973

 

1975

 

 

1976

1978

1979

 

教育法改正により獣医大の教育年限が4年から6年に変換

全国8獣医科大学廃科,ソウル大に獣医科大学再設置(予科2年,本科4年)

獣医科大学予科廃止,4年制に還元

慶北大,全南大で獣医学科復活

ソウル大農大獣医学科を獣医大に再昇格

慶尚大,建国大で獣医学科復活

 

韓国経済高度成長による畜産も1970年代平均年間10%以上成長

産業構造の高度化

食糧自給を国家課題に採択,重農政策の開幕

 

1980

1982

1988

 

 

1989

 

 

・全北大獣医学科復活

・忠南大獣医学科新設認可

・忠北大,江原大獣医学科新設認可

・慶北大,慶尚大,全南大獣医学科が獣医科大学に昇格

・済州大獣医学科復活,全北大獣医科が大学に昇格

 

 

 

1980年2次オイルショクと政治不安定,負の経済成長。80年代後半30年間の低賃金,低価格,輸出増大限界で分配欲求受容,成長戦略の修正

1980年代農業が15%水準に減少,畜産産業度成長鈍化

1981年韓国獣医学教授協議会発足

84-88年UNDP5個年家畜衛生事業推進

86アジアンゲーム,88オリンピック支援,韓国獣医技術の国際的認定

1989年に全国獣医科大学長協議会発足

 

 

1991

1994

1996

 

1997

 

 

 

     忠南大獣医学科の大学に昇格

     忠北大獣医学科の大学に昇格

     教育法施行令改正で獣医学教育年限が4年から6年に延長

     1997学年度から10獣医科大学及び獣医学科で480名の学生選抜

 

1991年UR協商,WTO出帆,畜産を含む農業が無限競争時代に突入

・家畜衛生研究所に残留毒性課(1991),海外伝染病科新設(1994),研究人力増員

1994年全国国立大学校獣医学科IBRD借款による研究装備の補強

IMF危機と共に畜産及び獣医産業での総体的な危機直面

1998年韓国獣医関連中央政府機関である獣医科学研究所と国立動物研究所が統合。国立獣医科学検疫院として出発

 

4.         医学教育年限延長の必然性と反省

前述したように、近年になって韓国だけではなく国際的にも獣医学教育制度改善を必要とする世論が沸きあがり、その具体的な方策が関連国際会議で議論されたが、韓国だけが教育の内実はさておいて世界で唯一4年制を固守していた。一時は国際的に4年制獣医教育履修者に対する獣医師資格認定を制限しようという議論があっただけでなく、世界獣医師会議では韓国政府に獣医教育年限の延長に対する建議も行った。韓国の一部の獣医師たちは獣医教育の改善を主張し、獣医教育分野で奉職している教授方がこれを改善するために教育年限の延長の動きを始めたのを見て、私は極めて幸せであった。

筆者は大学卒業後、研究機関で勤務してきたので、獣医師の受け入れ側として韓国獣医学教育の制度的な改善に関心を持って見守った。そして、輩出される獣医師の社会活動分野、特に産業動物生産分と検定と検査分野、獣医公衆衛生分野、先端獣医科学技術、獣医学を土台としてこれから我々の獣医師たちが寄与できる分野を含めて考慮してみたが、未来指向的な分野はさておいて、現在の私たちに任せられている役割も果たすに至らないと思われることが多かった。従って、このような課題に多くの獣医科大学教授方が対処していくと信じ、我々が協力する部分は何か、どんな援助ができるのかなどを思案したこともあった。

韓国で獣医に関する最初の記録には、恵慈法師(高句麗)が日本に行って獣医技術を伝播したとあり、これをみても韓国の獣医術は大昔から始まったことが分かる。解放後625戦乱と36年間の植民地政策下で、資本主義と民主化過程などの社会混乱の中で1962年政府の高等教育機構簡素化方針により、獣医科大学が獣医学科になり、斉州大学校獣医学科が廃科となった。 1970年代韓国経済が高度成長期となって1960年代に比べて韓牛は1.5倍、豚は1.3倍、鶏1.7倍、乳牛98.7倍に増加して、年間10%以上の高度成長を維持した。 また、肉牛及び肉鶏卵などの新しい肉類供給産業が展開され、ますます韓国が高度産業社会に入った。都市を中心する犬を始めとする愛玩動物と愛玩鳥類、水族舘の熱帯魚と政府の養殖産業の育成策により水生動物養殖産業などが大きく発展した。生命工学が始まって分子生物が獣医学と接合されるなど、過去の獣医学の概念からは受容できない状況となった。当時、韓国でも獣医学の未来を考慮している獣医師たちは、韓国の獣医教育を大きく憂慮していた。この時、ある老教授は韓国の獣医教育の後進性を慨嘆しながら、この問題を解決するための意志を持っている同僚教授達を糾合して、関連政府部署と交渉した状況が今も生々しく思い出される。当時、筆者も獣医学教育年限を6年に延長する法案に積極的に賛成し、文教部のミンカンシキ長官とソウル大学校農科大学長ピョヒョンク学長と会ったこともある。

その時も獣医学教育制度改善の必然性は今と違いはないし、当時の各獣医科大学の立場を考慮して国立獣医科大学として学縁又は地縁の妨げを除去すると共に、全国獣医科大学教授と予算を国立獣医科大学に集中させる方案を提示したことがあった。その後、詳しい経過は分らないが、1974年に文教部では各大学校の獣医学科は廃科し、ソウル大学校獣医科大学を新設して予科2年、本科4年の課程の新入生を選抜した。しかし、わずかに2年間で予科課程だけを選抜して1975年後半期に文教部ではまた旧制に戻し、慶北大学校農科大学と全南大学校農科大学に獣医学部を復活した。このような仕打ちは韓国の獣医学教育を大きく退歩させることであった。当時の政況はよくわからないが、この問題は獣医学教育を担当する一部の側からの要請による結果だと考えられる。獣医学科を復活させるようなことをせずに、6年制獣医科大学を新設したなら、現在では6年制獣医学教育は定着していたことだろう。

その後14年が過ぎて、再び教育年限の延長の論議が始まった。全国獣医科大学学長協議会(会長:コンゾンクッ)では1989年に教育年限延長建議文を提出し、1990年には韓国獣医学教育協議会(会長:尹 和重)で教育部に同様の建議した結果、教育部では検討を開始し、1994年中央教育審議会高等教育分科委員会でソウル大のヤンイルソク教授の研究結果を報告し、19957月に公聴会を開催、韓国獣医学教育協議会と大韓獣医師会の主催、教育部後援で開催された数回の教育部との接触と大韓獣医師会李吉在会長と教育長官の面談、イスソン総理の配慮(チエヒイン、ソウル獣医大の当時学長)などの獣医分野が総動員して合心努力した結果、1996520日教育施行令改定案が立法予告(官報13316号)され、同年823日大統領令(15141号)として公布された。

このような一連の獣医教育改革は、韓国で必要な資質を持っている獣医師を需要に応じて適切に供給することがその基本目的である。しかし、単純に教育年限だけを延長して解決となるという発想は危険であることは、教育専門家ではない者も知っている事実である。獣医学教育を担当している現職者は、獣医学教育の改善のために多くの努力を傾けて骨折った教授と周りの協力者たちに対して、歴史的招命を持って責任を完遂する覚悟を示さなくてはならない。うわさによると、お互いに様子を見ながらこのまま行って、10の獣医大学の中で競争から負けた大学が自然淘汰されるだろうという話がある。こんな無責任は教育者の態度ではありえない!筆者はこんなことは事実ではないと信じている。

韓国獣医学と獣医産業の発展は獣医教育年限の延長だけでは保証されない。授業年限の延長は極めて一部分の方法に過ぎない。教授の数を確保し、教育施設を拡充するなどの後続処置が行われない場合は、学生たちは莫大な教育費の負担と時間の浪費をするだけであり、我々の獣医産業分野が他分野との無限の競争に負ける恐れも排除できない。したがって、獣医界の指導者的な位置にある獣医師はこの事態に積極的に対処し、過去と同じような失策が再現されないことを望む。

 

5.獣医学教育の国際的動向

1)日本

 韓国と環境や慣習や獣医畜産及び教育制度などが似ている日本獣医教育の最近の動向を調べると、1978年に6年制の制度となった。これは1973年に韓国で6年制が実施されたことがきっかけである。故人となった日本獣医界の父、越智勇一博士が同年韓国を訪問した時、韓国で獣医学教育年限を6年に改善した事実を見て、日本に帰国してから日本でも獣医学教育改善を急いで行なった。その時は現在のように国際的な獣医教育に対する一致や、統一化のharmonizationの動きはない時であった。

 日本では教育年限の延長の前段階として、大学院修士課程を義務的に修了する処置を取った後に、1984年から一貫6年制の新入生を募集した。その後、10年が経過して日本の獣医教育制度改善の中間評価を行った結果を見ると、4年制時には接することができなかった多様な獣医分野教育を強化することによって、より専門的で、細分化した教育が可能となったという肯定的な反応が認められた。当時の日本では専修教育という特徴的な教育で、4年生になると自分の希望と成績などを考慮して、2-3年間の卒業論文のための研究を行ない、学部時代から研究活動に参与して獣医学という実践科学の真髄を理解させた。その成果は研究活動でも大きな結果を得た。このような制度的変化は学部卒業後社会に進出してすぐ独創的な研究を行なえる基盤を準備して、研究者獣医師を養成する点で肯定的な評価を得た。この時の授業時間は専修教育を含んで5000時間以上であった。この時の獣医学教育制度改革にメリットと問題点を整理すると次の表の通りである。

      

表2

メリット

問題点

1 社会地位の医学、歯学と同一の水準への向上(公務員の場合)

2 科目数が増加するによって多様な分野で専門知識専修可能(分子生物学など)卒業後すぐ専門家として活動。

3 研究分野活性化に寄与、研究の質の国際的水準への向上

4 伴侶動物及び産業動物に対する臨床診療の質の向上、獣医師に対する信頼度の増加、産業動物の治療期間の短縮による経済性の向上に寄与

 

1 教育年限2年延長による教員及び施設の拡充が不足し、教育の質的向上での問題あり。臨床獣医学では極めて少数の教授が内科、外科、産科などの全臨床分野を担当するので6年制教育実施後も臨床教育の質的向上が期待できない。

2 5-6学年を4年制課程当時の修士課程に相当すると認識し、研究を主体にする教育を行ったので、臨床教育が不足し、実学軽視の傾向に流れた。

3 社会各分野、特に公衆衛生分野及び産業動物臨床分野に対する獣医師の受給不均衡が問題。

 

その後15年が過ぎた現在に至って、日本では6年制が失敗したという自省の声が多くなっている。失敗という結論の背景には

@         東京大学と北海道大学以外の国立8大学を統廃合して、予算を国家に負担させることなく自体的に解決する、という方向が間違っていた。

A         日本では獣医教育年限が6年になると優秀な学生たちが応募するようになったが、地方自治団体制度が発達した日本ではその地方の獣医学科が閉止されないように地方議会政治家たち運動によって統廃合が全面保留されて現在に至った。

B         このような結果は6年制獣医学科卒業生の社会的評価の上で問題となった。すなわち、

一つ、企業の採用関係者たちは入社試験で獣医学科6年制卒業生より理学、薬学、工学、生命科学などの生命科学分野修士卒業生がもっと良い成績を取るので、獣医師を採用しにくいこと。

二つ、臨床に従事する先輩獣医師たちから、獣医師国家試験に合格しても現場の臨床家として活躍するには知識と技術が不足すると結論されていること。従って、最近日本では優秀な学生を選抜しても彼らの資質を生かせなくて、以前と同じ獣医師を輩出するという酷評が出ている。

日本の獣医教育制度改善後20年が経過した199810月に社団法人日本獣医師会が行った6年制獣医学教育に対する調査結果を要約すると次の通りである。

一つ、6年制獣医学教育環境が不十分である。

・教育内容が不十分

・獣医師受け入れ側から見て4年制と6年制獣医師の資質において顕著な差がない

・獣医師教育実施後、講座数(教員数)、人員、施設、設備などの教育環境整備が行われず、その充実度も不十分

二つ、臨床と応用分野の教育、すなわち実習などの技術教育が不十分(受け入れ側の指摘)。

三つ、日本獣医師会による生涯教育が必要だとの意見が圧倒的(特に、小動物診療関係)

四つ、大学教員からの自由意見では、6年制教育環境の未整備が強く指摘された(特に、国立8大学の教育環境整備の緊急性を指摘)

 

2)ヨーロッパの獣医教育協議会(EAEVE)の提示した獣医科大学の最低基準

(省略)

 

6.      韓国の獣医学教育の現況と問題点

1)韓国の獣医学教育と国際基準との比較検討

韓国では2000年現在、10大学に獣医学科が開設されている。 この中で9大学が国立大学で、1大学が私立である。 教授数は多いの場合で1大学27人、少ないの場合10人であり、10大学の教授総数は148人、1個大学当たり平均教授数は14.8人である。学生入学定員は490人で、大学別入学定員は40人から60人、教授:学生に比率は1:16から1:9である。これをEAEVEと日本で最近制定された新基準と比較すると、表6の通りである。

獣医学教育改善の目的は、その時代の社会又は国家が要求する資質を備えた人材を養成、供給することである。従って、韓国において現在と未来に要求される獣医師の資質、すなわち教育の目標と教育の内容によって専攻科目の内容と時間が決まり、講義時間の合算が教育年限に連係される。世界的にみると、国によって事情は異なるが、これを共通化又は基準化するために世界獣医師会議を始めとして各地域別に指針が作られている。最近ヨーロッパ地域で採択した(EU15個国と49獣医科大学参加)EAEVEの獣医学教育基準及び韓国と多くの条件が似ている日本の基準と韓国の各大学の現況とを比較したものが表6である。比較した結果、大差があることが単純比較でも分る。

 

表6 獣医学関係大学の現況と日本及びEAEVEの学生と教員基準の比較

大学別

講座数

教員数

講座当たり教員数

入学定員

教授:学生

備考

EAEVE基準

 

100

以上

 

100

1:5

教務職員:教授比は

2:1

200

日本新基準

18以上

72以上

4以上

60(標準)

1:1以下

国際基準対応

江原大学校

 

10

 

40

1:4

 

建国大学校

 

10

 

40

1:4

 

慶北大学校

 

17

 

60

1:3.5

 

慶向大学校

 

15

 

50

1:3.3

 

ソウル大学校

 

29

 

50

1:1.7

 

全南大学校

 

16

 

50

1:3.1

 

全北大学校

 

16

 

50

1:3.1

 

済州大学校

 

11

 

40

1:3.6

 

忠南大学校

 

13

 

60

1:4.6

 

忠北大学校

 

13

 

40

1:3.0

 

韓国合計平均

 

150

 

4801,950

1:3.2

 

 

15

 

48195

 

 

 

この問題には二つの解決法が提示できる。その一つは、韓国でも獣医科大学設置基準を準備して、このガイドラインに合致する大学になるように各大学で努力し、合致しない場合は、米国で採択しているような外部評価により、獣医師国家試験受験資格を制限する方法である。基準を制度化して、韓国の獣医師が世界舞台で活動できる資質を整えるようにしなければならない。

もう一つの方法は、韓国で獣医学科が設立されている10大学中で9大学が国立大学である点から、9大学の教授たちの意見と意志を一つにして、極めて論理的で妥当性がある方法を考えて、これを教育文化部に提示する方法である。これは国民の政府が改革を志向しているので、名分があって可能性が高い。

 

2)教育施設と設備

大学教育において、教授と学生数及び教育年限の次に重要なものは、教育施設と設備である。獣医学は理論科学ではなく実践科学分野なので、教育施設は他分野よりその比重が高い。

従って、EUでも施設と設備については具体的な指針を提示している。例えば、事務室の空間から学生施設、教育施設、小動物施設、大動物及びその他の家畜病院、病理臨床及びウイルス、微生物、食肉、牛乳、環境衛生、そして牧場と実験動物施設までに部屋の数と大きさなどまでを詳しく提示している。韓国獣医学教育施設とか設備に対する調査はまだ完成されていないので比較平価が出来ないがEUで提示した最低基準に達していないだろうと思われる。これから韓国に対する獣医学科の教育施設基準を準備するためには、まずその調査が必要である。但し、これから獣医教育の改革方案がどんな方向を決めて行くかによってその方向が設定されるが、各大学の特性と地域特性を考慮してその基準が準備しなければならないだろう。

 

3)臨床病理材料の最低基準 

今回、EAEVE基準の中の臨床関連部分を読んで獣医学の真髄を感じた。獣医学は実践科学であり、獣医学の主業務が動物の疾病管理であることを実感した。今まで韓国では産業動物の生産現場に獣医臨床が接近しにくかった理由が理解できた。

EAEVE最低基準では、小動物の場合、犬は年間4,000頭の診療と入院患犬が1,000頭、手術頭数600頭、解剖が200頭、そして産業動物も畜種別に年間診療頭数、手術頭数、解剖頭数が必要である。韓国の獣医科大学履修課程で畜種別に幾件の診療と入院、手術を経験した上で獣医師として誕生するのかについては調査統計がないが、筆者の経験から見ると、上に例示された数には遠く及ばないと思う。

現在、獣医科学検疫院の前身である家畜衛生研究所で取扱う病性鑑定事業の実積を見ると、全国で年間1000余頭/200件程度であろうと予想できる。勿論、これは畜産生産現場での必要性と獣医病理の効用性又は技術の信任度と相間が深い。特に韓国の場合、産業動物臨床分野では現場との接見をしにくく、獣医教育次元でこの点は看過できない重要な問題である。

筆者も研究所で勤務し、韓国の畜産の初期に生産現場で30余年間対民奉仕事業として病性鑑定を担当した経験があるので、その重要性がよく分る。EAEVE基準で提示された例数は最少要求条件であるが、これから国際社会でDVMとして活躍するためにはこの水準に近い臨床実習をしなければならないし、このような臨床事例を経験するためには韓国獣医学科も地域特性と教授陣などを考慮した配慮が教育改革に反映しなければならない。

 

4)教員に対するその他の基準

この項は韓国の場合、あまり重要な事項ではない。その理由はこれから韓国では大学新設が行われないからである。

 

7 獣医師受け入れ側での教育プログラムに反映する事項

1)基礎科目より臨床獣医学又は応用獣医学科目に比重を置く。

政府樹立後現在まで、韓国の獣医学教育は学校によって多少差があるが大部分は基礎獣医学教育が主で、総教育科目の70%を占有し、臨床獣医学又は応用獣医学の教育は30%程度である。これから、韓国の獣医学教育は臨床獣医学と応用獣医学が全科目の70%を占有する教育体制に転換しなくては、獣医学の国際化と社会の要求する知的専門職業人の養成が難しいだろう。さらに、教育時間においても英国ロンドン大学では5,055時間(講義1,521時間、実習3,534時間)、米国のカリフォルニア大学では4,811時間(講義1,277時間、実習3,534時間)、カナダのオンタリオ大学では4,393時間(講義2,460時間、実習1,933時間)、日本の麻布大学では4,305時間(講義2,460時間、実習1,845時間)であり、日本の麻布大学は実習時間が欧米に比べて1/2しかないので問題となっている。韓国の場合も比較してみる事項である。このような教育体制では知的専門職業人として実質的に社会が要求する獣医師の養成に対応しない。また、社会又は国家から付与される使命を行いにくいだけではなく社会的に獣医師として正当な評価を得にくい。

 

2)社会構成の変化と獣医学教育の課題    

(1)韓国の食糧自給率

韓国の食糧自給率は物量面で30%未満であり、その不足分は輸入に依存している。その中で牛肉は輸入牛肉に押されて自給率が1998年には75.3%で、 豚肉の輸入量も少なくない。豚肉は日本に輸出しているがHCなどの伝染病を撲滅しなくては続いて輸出できるかどうかは分からない。鶏肉は199912月現在46000M/Tで需要量の14%となっている。穀物は米だけが自給している状態である。米の自給も畜産物の消費が増加するによって可能したと言う点を看過してはいけない。しかし、URWTO、向後NRではどんな変数がおこるかはまだ分からない。

毎年、畜産物の輸入が増加の一路にあるので、自給率をどの水準まで防御するかは未知数である。現在、韓国の食用動物の生産性とか安全対策はまだ国際競争で不安である。従って、獣医産業の積極的な対応が準備されなければならない。

 

(2)地球環境の劣悪化

21世紀に入って地球環境に対する国民の関心が年々に高くなっている。これから地球環境に対する関心は国際的にもどんどん政策化されるであろう。地球環境の劣悪化は地球上の生物の生態系を壊して人間の生命にまで脅威を与えることになる。地球上の生物は互いに共生する環境を維持することが重要となり、産業生産社会に転換するために必要な獣医学領域(渡り鳥、野生動物などの可検物を利用して、土壌と水質などの環境汚染を測定)に備える課題である。

 

(3)生活様式の変化

高齢化社会、核家族化、人間の社会性の喪失などにより生活様式の変化、男女の役割と家父長制度の変化、肉親との交流も希薄化することになった。さらに最近のサイボ空間を利用する人の増加はさらに孤独を促進させる可能性がある。これらの社会問題に対する獣医学的な対応方案も必要である。

 

(4)産業動物医学

21世紀の爆発的な世界人口の増加、UR又はNRによる農畜産物交易の自由化又は生産農家の減少、国内生産農家の減少、輸入依存による国内畜産農家の生産基盤の崩壊の可能性、輸出国の生産水準向上によって畜産物の輸出国が輸入国に転換する場合、韓国は動物性蛋白質確保が困難に成り、韓国の食生活の悪化が予想される。従って、韓国で畜産食品の生産基盤が崩壊しないための対策として、費用をかけずに生産効率を向上させて外国の畜産物生産価格より低くして生産性を高めなければならない。これのために、獣医学分野では疾病に対する予防対策とproduction medicineを重要視する共に、分子生物学などの基礎獣医学と応用獣医学を使いこなしてbio-technologyによる生産性が高い家畜家禽の生産又は特殊疾病に対する耐病性品種を改良することなどの畜産産業の生産性に寄与するための基礎教育が反映されなければならない。

 

(5)小動物医学

高齢化、核家族化などの生活方式の変化と人間の孤独化、仕事と生活から発生するストレスの解消方法として、犬、猫、その他の新しい伴侶動物との共生が必至である。現在韓国でもこのような伴侶動物の数が大きく増加している。高齢者、子供の生命を重視、情緒教育、忙しい生活する人のストレス又は孤独感解消の対象として伴侶動物との共生が要求される。さらに、 高齢者、子供、心身障害者のための動物介在療法も社会的に活発となるだろう。

伴侶動物に対する獣医学的な対応のために、動物医学での広範囲な獣医学的知識と医療技術が要求される共に、小動物臨床での動物医療だけではなく、人間と動物が共生する社会における人間と動物との関係にも対応する新学問の発展のために、社会科学的な接近も獣医学教育において積極的に行われなくてはならない。

 

(6)野生動物医学

国際連合の調査によると、地球環境の劣悪により2020年頃には地球上の生物は一日に50種から150種が絶たれていくと予測され、韓国でもすでに多くの種類の生物が絶たれている。国際自然保護連合での分析によると地球上の種が絶たれていく動物の96%が人為的な原因による。韓国でもダム建設、山林での伐木又は道路の建設によって生息場所が無くなるとか、密猟者又は列車とか自動車による傷害、疾病又は寄生虫などによる減少が発生している。野生動物の生態は環境劣悪値を示す指標になる共に、獣医学的には野生動物の傷害又は疾病に対する治療のために野生動物医学は重要な課題であり、熱帯魚又は水生動物に対する獣医学分野の積極的な対応も切迫な課題である。

 

(7)獣医公衆衛生

韓国では社会構成要件が顕著に変化していくだろうと予想される。特に人的、物的な国際化が進行し、韓国は畜産物と食品の薬物又は重金属、環境ホルモン(ダイオキシンなど)の残留などにおいても安全性の確保が必要な状態となったが、教育又は現場で満足するほどの対策がまだ準備されていない状態である。また、獣医公衆衛生では人間の栄養源として安全で質の良い動物蛋白質又は他の食品の確保のために、生産過程から食卓までの衛生管理が重要である。特に生産地における家畜衛生及び食品の管理のためには、国際的な視野とこれに対応する技術が要求される。そして、社会構成が複雑となって人間の社会的活動も多様化し、環境衛生も獣医学に附加される大きな課題となった。この分野で獣医師の役割が大きくなっている。例えば、畜産廃棄物の処理技術を活用する生活廃棄物の問題、これらの処理によって発生する二次的公害(環境ホルモン)問題などに対処するための広範囲な学術と行政に必要な獣医教育の新しい接近が切実に要求されている。

 

(8)実験動物など

今まで疎外されてきた実験動物の生産と管理及び実験動物を利用した各種の実験実施方法などに対する教育も、新しい役割の拡充ができる有望な分野である。それ以外にも、国際的観点から見ると、獣医業の多様化傾向による基礎及び応用獣医学の教育の補強が要求されている。

 

(9)獣医法規及び経営経済分野

先輩獣医師たちの配慮によって樹立した獣医制度にこれまでは依存してきたが、高度産業社会時代の獣医政策(制度)又は経営経済学との連係がなくてはこれからの獣医産業を発展させることは限界がある。これから行政学、経営経済学、社会学分野と連係して獣医産業の新しい挑戦のためにこの分野のマインドを習った獣医師養成にも配慮しなければならないだろう。

 

8。教育改革目標と実践方案

1)         目標

@     韓国獣医学教育を改革して世界獣医師会議(WVA)を始めとして欧米地域で設定した教育基準に近い制度に上向き調整する。

A     教育内容、講座数、施設などを充実にして、臨床教育を現水準より強化しながら、基礎獣医学は臨床を理解するための教育に転換して、医薬品の開発(人体用、動物用、水産用)と食品産業及び生物産業分野に進出する獣医師の基礎教育の充実を図る。

B     獣医師の多様な職域に備える優秀な知的専門獣医師を養成供給して、畜産業及び小動物産業を先導的に導いていきながら、広範囲な獣医公衆衛生向上に実質的に寄与して、社会又は国家から任せられた任を全うして、社会から尊敬される新獣医師像を確立する。

C     国際的な交易の拡大による関連分野に対応する能力を強化させて、国内産業保護だけではなく、国内産業を国際産業に育成する。

D     動物愛護精神の高揚と、高度産業化情報化社会への環境変化により荒廃化する社会像と人間像を、太初から現在まで汚染されることなくて維持されてきた動物の世界と接合として、本来の善良な人間性を復元し、動物介在治療法の開発普及を行い、獣医分野の世界化に歩調を合わせて国際水準化と均質化することを目的とする。

 

2)方針

@     韓国獣医学教育改革方案の樹立と実践のために、広く獣医分野の人士たちと構成する獣医学教育改革実践運動本部を大韓獣医社会に設置する。

  A 実践運動本部には企画部署と獣医学教育基準委員会と評価委員会及び品質管理委員会などを設置して、教育改革方案を樹立し、国際的基準を考慮した教育基準書を作成し、その基準によって各大学別に自己評価し、外部からも客観的に評価しながら、政府と教育改革を我々が主体となって成就できるように韓国獣医学教育協議会と協力して推進する。

B 獣医学教育の持続的な改革と推進のために、獣医教育の査察により教育品質管理制度を導入する。

 

9。結論

  韓国の獣医学教育改革のために、当事者である全国獣医学教授協議会を始め全国獣医科大学協議会では、国内の獣医分野から在米韓人獣医師会までの深い関心の中で、多くの努力を傾けた。その結果として、宿願であった教育年限6年延長を達成することができた。しかし、我々の目標である、時代が要求する知的専門獣医師の育成のための核心部分は全く達成できない状態である。従って、多くの時間だけを浪費したようでもどかしい。今まで数次のシンポジウム、協議会、討論会、論文などには良い提案も多かったが、合意に至らなかった。それは単一つの理由からである。それは、内心ではこの状態は良くないと思うが、過去の辛かった経験を思い出し、同僚教授たちとの情義を損うような行動を望まないからである。その理由から、教育分野の門外漢である私に悪役を依頼することとなったと思う。筆者は韓国の獣医術と教育の起源から始めて、緒論が長かった。しかし、韓国の教育改革のために、こんな陣痛があったことを、後世に伝えるべきである。

既に、韓国では獣医教育年限が6年となった。しかし、大きな夢を持ちながら優秀な獣医師になる未来像を想像して入学した全国の優秀な人材たちに、6年後は国際的に認定されるDVMの称号が授与されるだろう。しかし、彼らが畜産物の生産現場と貴重な食品生産の検査員や、子供のように愛する伴侶動物の生命を任せられる立場にあるのが恥ずかしくないかを、一度考えて見るべきである。

これからは国際関係だけではなく国内でも関連分野との無限の戦いがあることを、我々は知らなければならない。例えば、畜産関連学科、食品関連、環境、保健と衛生、水産関連学科、生命科学分野、製薬関連学科などとも無限な競争するはずだろうと言う事実を謙虚に認めなければならない。

古言は、志を立てれば道があるはずである、と言う。我々は教育改革の目標を明らかにし、それは真理であることを否定できない。さらに、韓国の獣医分野は畜産関連分野と獣医関連の全分野が一緒に滅するか、又は共生して繁栄の道に行くのかは、獣医学の教授の選択によって決められる。

先に国際的に採択された獣医学教育基準を調べてみた。韓国と似ている日本の場合、すでに獣医学教育基準を準備して教育改革のために拍車をかけている。

筆者の40余年間の研究公職で体得したことは、事毎には機会があると言うことである。我々は何回もの機会を逃がした。現在、政府は改革のための構造調整として、大きな逆境を経ている。既に我々の獣医分野でも、検疫機関と研究機関が一つに統合された。

幸いにも、韓国では獣医学科を設置している10大学のうち、建国大学を除外する9大学が国立大学である。現在の状況を見ると、先進国の獣医学教育基準のように9国立大学の育成のための国際基準として、教授の増員又は施設及び予算の増額は現状態には難しい。国立大学獣医学科教授が力を合わせて大学を適正な水準で統合し、教授数と予算などを合致させて運営するように関連団体と一緒に建議すれば、政府にも拒絶する名分ではないだろう。

大学の数と統合の方法は既に提示した仮称“獣医学教育改革実践運動本部”を構成して全権を委任することがよいと思う。

これからは個人又は地域の障壁を超越して、新しい千年の獣医分野の未来をために賢明な選択をして、歴史に汚点を残さないように、勇気を出して、」獣医学教育改革のために皆が共に参加することを望む。

 

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