北 海 道  大 学

2000/3/29

以下、3月28日付で、帯広畜産大学、岩手大学、東京農工大学、岐阜大学の獣医学科長宛に出された書簡です。

           学科長殿              2000年3月28日  

 ようやく春の日差しを感じる季節となって参りましたが、先生にはますますご健勝 のこととお喜び申し上げます。  さて、この数年、獣医学教育のグローバリゼーションの流れを意識しながら、我が 国の獣医学系大学における教育の充実を目的に多くの話し合いが行われて参りました。 特に昨年4月からはこの問題に関し、科学研究費の補助を受けて様々な側面からの検 討がなされているところであります。その中でもっとも根本的な問題は、より充実し た専門教育を行うことが必須であるとの認識では一致しているものの、現在の各大学 の人員ではその達成がきわめて難しい、という点にあり、それを受けて既存の連合大 学院の枠組みをもとに、東の4大学、西の4大学が再編、統合を目指して話し合われ て参りました。
 昨年の話し合いでは「平成13年度の概算要求を目標として何らかの形で合意する」 ことが会議で得られたコンセンサスであったと思います。西の4大学におきましては、 まだ多くの問題を抱えてはいるものの、現在九州大学との話し合いが進展しつつある ことは周知のことと存じます。また、東の4大学におきましては、我々の知る限り、 まだまだ様々な問題が山積している状況にあるものとお見受けしております。
 一方、北海道大学と東京大学は獣医学教育充実のため、各私立大学ならびに大阪府 立大学とともに、何らかの自助努力の道を探るための検討を進めて参りました。しか し、この間の国公立大学獣医学協議会、全国獣医学関係大学代表者協議会の席上でも 申し上げましたたように、様々な制約の中での教育の充実はきわめて困難であるこ とは論を待たないことであります。
 そこで、両大学といたしましては、合意がいただけるのでしたら、8大学と同じテー ブルの上で獣医学教育の改善について論議させていただきたいと思います。できれば この4月の学会時、あるいは時間的に困難であればその後できるだけ早期に、とりあ えず東の4大学と北大、東大を加えた6大学で獣医学教育の充実のための勉強会ない し懇談会を開催していただきたく、申し入れをさせていただくことにいたしました。 これは決して西の4大学を排除するものではなく、少しでも先が見えて来た現状に雑音を入れないための配慮です。もちろん、望まれるのであれば、西の4大学にも加わっ ていただくことに異存はありません。また、これは現在の8大学あるいは4大学にお ける再編・統合の話し合いを阻害するものではなく、また、そこでの結論は当然優先するべきものであります。しかし、大学の独立行政法人化の問題など、獣医系大学の 再編、統合といった獣医学教育充実のための手段を進行させるための時間には必ずし も余裕がないように考えられる現在、再編、統合の話し合いと平行して、第2,第3 の可能性を話し合う機会を持つことも、きわめて重要かつ緊急のことと思われます。
 このような考えをもとに、この申し入れを北海道大学、東京大学の連名で、帯広畜 産大学、岩手大学、東京農工大学、岐阜大学の獣医学科長宛にお出しすることにい たしました。
 4月の学会時までの時間は余り余裕がなく、各大学でご検討いただくことは困難か とは存じますが、できうる限りで結構ですので、早急にご返事を賜りますようお願い 申し上げる次第です。

藤田正一
北海道大学大学院獣医学研究科
電話:011−706−6948
e-mail : fujita@vetmed.hokudai.ac.jp

佐々木伸雄
東京大学大学院農学生命科学研究科
電話:03−5841−5404,5420
e-mail : asasaki@mail.ecc.u-tokyo.ac.jp


2000/1/7

専門大学院構想について

専門大学院構想は現在北大でも検討されています。

国立大学の中のいわゆる「自助努力組」として獣医学教育をどう改善して行くか、一昨年の外部評価で酷評された臨床教育をどう改善したら良いか、獣医学教育の高度化、国際基準化というグローバルな流れにどう対応するか、教授懇談会で検討しています。その中で、将来構想として、専門大学院構想も出ています。別の構想もあり、一本に纏まってはいませんが、今後は組織運営委員会にワーキンググループを設け、中・長期目標として、本獣医学部の臨床教育および獣医学教育一般をどのようにするか検討する運びです。今後は自助努力組のもう一つの東大とも協議し、将来構想を検討したいと考えています。

北大 藤田正一


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