死ぬのが怖いから

 飼わないなんて、

  言わないで欲しい。

 

 

おうちを汚すから飼わないというなら、
犬はお行儀を身につけることでできる。

留守がちだから飼わないというなら、
犬はけなげにも、孤独と向き合おうと努力するかもしれない。

貧乏だから飼わないというなら、
犬はきっといっしょに貧乏を楽しんでくれる。

だけど、、、、死ぬのがこわいからといわれたら、
犬はもうお手上げだ。

全ての犬は永遠じゃない。
いつかはいなくなる。

でもそれまでは、すごく生きている。
すごく生きているよ。

だぶん今日も、日本中の犬たちはすごく生きていて、
飼い主たちは、大変であつくるしくって、
幸せな時間を共有しているはず。

飼いたいけど飼わないという人がいたら、
伝えて欲しい。犬たちは、
あなたを悲しませるためにやっては来ない。

あなたを微笑ませるためだけにやってくるのだと。

どこかの神様から、ムクムクしたあったかい命を
預かってみるのは、人に与えられた、
素朴であって高尚な楽しみでありますよ、と。


 
    朝日新聞 2004.2.28 掲載  NPF 日本ペットフード 広告)